問題 21★★☆

社内サーバをクラウドへ全面移行するため、サーバ運用担当者の現在の業務は1年後に無くなる。 会社は彼らを、クラウドの設定やアクセス権を監視する担当へ移したい。 会社が主導するリスキリングとして最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア学ぶかどうかと内容は本人に任せ、業務時間外に取得したクラウド関連資格の受験費用を補助する。

    誤り。これは自己啓発の支援です。学び直しを後押しする点は同じなので混同しやすいですが、 何を学ぶかが本人任せでは、移行後に必要な職務へ確実につながりません。 会社の事業の変化に合わせて、会社が必要なスキルを示すかどうかで区別します。

  2. イ本人が退職または休職して大学院などで学び直し、学び終えた後に改めて職に戻る機会を設ける。

    誤り。これはリカレント教育の考え方です。社会人の学び直しという点は共通ですが、 仕事を離れて学び、学ぶ内容も本人が選ぶのが基本の形です。 今回は会社の中で決まった職務へ移すことが目的なので、会社が主導する形にはなりません。

  3. ウ移行後の監視業務に要るスキルを会社が定め、業務として学ぶ機会を用意し、修了後の配置先を示す。

    正解。事業の変化で生まれる新しい職務に就くため、必要なスキルを会社が示して 身につけさせる取組みがリスキリングです。学んだ後にどこで働くかまで示すと、学びが職務に結び付きます。

  4. エ無くなるまでの1年間は、現行のサーバ運用手順をOJTで後輩に教え、運用の熟練度を高めさせる。

    誤り。これは今の職務の技能を深めるOJTです。職場で計画的に育てる点は正しいですが、 1年後に無くなる業務の熟練度を上げても、移る先の職務の準備になりません。 今の仕事を深めるのか、別の仕事に就くために学ぶのかで区別します。

理解を深めるために

仕事が変わるから、会社が学ばせる

クラウドへの移行やAIによる自動化で、今の業務が無くなることがあります。そのとき、 人を入れ替えるのではなく、今いる人に新しい職務に必要なスキルを身につけさせるのがリスキリングです。 経済産業省は、新しい職業に就くため、または今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に 適応するために、必要なスキルを「獲得する/させること」と説明しています。「させる」とあるように、 会社の側から働きかける取組みとして語られます。

なぜ「会社が定め、配置先まで示す」のか

  • 事業の変化で必要になる職務は、会社が一番よく分かっている
  • 何を学ぶかを本人任せにすると、学んだ内容と移る先の職務がずれやすい
  • 学んだ後にどこで働くかが見えないと、学ぶ動機も続かない

情報セキュリティの担当者の目線では、クラウドの設定ミスやアクセス権の放置は事故の原因になります。 移行で手が空く運用担当者を、クラウドの監視を担える人に育てることは、人手不足と 新しいリスクの両方への備えになります。

混同しやすいものとの違い

取組み 何を学ぶかを決めるのは 目的
リスキリング 会社(事業の変化に合わせて) 新しい職務に就く・大きく変わる職務に適応する
自己啓発の支援 本人 本人の能力開発を後押しする
リカレント教育 本人 仕事を離れて学び直し、また仕事に戻る
OJT(現業務) 職場 今の職務の技能を深める

選択肢に「今の業務が無くなる」「別の職務へ移す」という場面があれば、会社がスキルを定めて 学ばせるリスキリングを選びます。費用の補助だけ、本人任せの学びは自己啓発の支援です。

前の問題へ次の問題へ