正解:エ
各選択肢の解説
ア候補者全員に情報セキュリティ関連の資格取得を課し、合格した者から順にセキュリティ部門へ配置する。
誤り。資格は知識の目安になるので手段としては使えますが、出発点にすると 「合格」が目的になります。移る先の職務で何ができればよいかが決まっていないと、 どの資格が必要か、合格だけで足りるのかを判断できません。
イ導入済みのセキュリティ製品の操作研修を先に受講させ、操作を覚えた者から監視業務に就かせる。
誤り。製品の操作は職務に要るスキルの一部にすぎません。警報を見て影響を判断する、 関係部署へ連絡するといった職務全体を定めないまま操作だけ覚えても、 担当としては動けません。何を学ぶかは職務から逆算します。
ウ対象を絞らず全社員向けのセキュリティeラーニングを受講させ、理解度テストの結果で候補者を選ぶ。
誤り。これは全社員の意識を底上げするセキュリティ教育です。全員に同じ内容を学ばせる点で 役に立ちますが、目的は自分の業務で事故を起こさないことです。 セキュリティ部門の担当として新しい職務に就くための学びとは目的が違います。
エセキュリティ部門で担う職務と必要なスキルを定め、候補者の現在のスキルとの差を把握する。
正解。リスキリングは新しい職務に就くための学びなので、まず移る先の職務と必要なスキルを定め、 今のスキルとの差を見ます。その差が、何をどの順に学ばせるかの根拠になります。
理解を深めるために
行き先を決めてから、道のりを決める
リスキリングは「新しい職務に就くための学び直し」です。行き先(移る先の職務)が決まっていないと、 何を学ばせればよいかが決まりません。だから計画の出発点は、移る先の職務と必要なスキルを定め、 候補者の今のスキルとの差をつかむことです。
なぜ職務から逆算するのか
システム運用の経験者は、サーバやネットワークの知識をすでに持っています。一方で、 セキュリティ部門の担当には、ログや警報から異常を見分ける、インシデントの影響を判断する、 関係部署や外部と連絡を取る、といった別のスキルも要ります。
- 職務を定める(監視、インシデント対応の初動、規程の運用など)
- 職務ごとに要るスキルを書き出す
- 候補者の今のスキルと比べ、足りない部分を学習計画にする
こうすると、すでにある知識を学び直す無駄が省け、足りない部分に時間を使えます。 資格や製品研修は、この差を埋める手段として後から選びます。
混同しやすいものとの違い
| 取組み | 何から出発するか | 弱いところ |
|---|---|---|
| 職務とスキルの差を把握 | 移る先の職務 | ―(計画の根拠になる) |
| 資格取得を課す | 資格の合格 | 職務で足りるかが分からない |
| 製品の操作研修を先行 | 手元にある製品 | 職務の一部しか覆わない |
| 全社員向けeラーニング | 全員の意識の底上げ | 新しい職務の準備ではない |
「育成計画の出発点」「最初に行うこと」と問われたら、手段(資格、研修、eラーニング)ではなく、 移る先の職務と今のスキルとの差を把握するものを選びます。