問題 23★★☆

A社は3年前に事業継続計画(BCP)を策定したが、以後一度も訓練をしておらず、 組織変更で計画上の責任者や連絡先も古いままである。 この状況の説明として最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア計画は作られているが、訓練や点検、見直しで計画を維持・改善する事業継続マネジメント(BCM)が機能していない。

    正解。BCPは計画そのもの、BCMはBCPの策定から訓練・点検・見直しまでを平常時から回す 管理の活動です。計画があっても古いまま放置されているのは、BCMが回っていない状態です。

  2. イ事業影響度分析(BIA)を行わずに計画を作ったため、重要業務と目標復旧時間が決められていない。

    誤り。BIAはBCPの策定時に重要業務と目標復旧時間を決める分析です。 問題文に書かれているのは計画を作った後の放置で、策定時の分析が欠けていたかは分かりません。 策定の中身の問題か、作った後の維持の問題かで区別します。

  3. ウBCPは平常時の管理活動を定めるものなので、被災時の手順を別にBCMとして定める必要がある。

    誤り。BCPとBCMの関係を逆にしています。被災時にどう動くかの方針や手順を定めるのがBCPで、 それを平常時から維持・改善していく活動がBCMです。 「計画」がBCP、「計画を回す管理」がBCMと覚えます。

  4. エ情報システムの冗長化が不十分なため、障害時にシステムを自動で切り替えられない状態である。

    誤り。冗長化はシステムを止めにくくする技術的な対策で、BCPの中で選ぶ手段の1つです。 問題文の不備は訓練していないことと計画が古いことで、 システムの構成についてはどこにも触れられていません。

理解を深めるために

計画(BCP)と、計画を回す仕組み(BCM)

事業継続計画(BCP)は、災害やサイバー攻撃などの不測の事態が起きても重要な事業を止めない、 止まっても短い期間で戻すための方針・体制・手順を示した計画です。 事業継続マネジメント(BCM)は、そのBCPを作り、予算や資源を確保し、教育・訓練、点検、 見直しを続ける平常時からの管理活動です(内閣府「事業継続ガイドライン」の整理)。

なぜ「作っただけ」では足りないのか

組織変更や人の異動、取引先や情報システムの入れ替えで、計画の前提は少しずつ変わります。

  • 責任者や連絡先が古いと、被災時に誰が判断するかで止まる
  • 訓練をしていないと、手順の抜けや所要時間の見込み違いに気付けない
  • 見直しをしないと、新しく増えた重要業務やシステムが計画から漏れる

計画書があっても使えない状態を防ぐのがBCMです。A社に欠けているのは計画そのものではなく、 計画を生きた状態に保つ活動です。

混同しやすいものとの違い

用語 何か A社の状況との関係
事業継続マネジメント(BCM) BCPを作り、訓練・点検・見直しで回す管理 ここが機能していない
事業継続計画(BCP) 不測の事態での方針・体制・手順 3年前に作られている
事業影響度分析(BIA) 策定時に重要業務と目標復旧時間を決める分析 問題文からは分からない
冗長化 システムを止めにくくする技術的対策 問題文では触れていない

「訓練していない」「見直していない」「古いまま」という言葉が並んだら、 計画(BCP)ではなく、それを回す管理(BCM)の話だと読み取ります。

前の問題へ次の問題へ