正解:ウ
各選択肢の解説
ア360万円
誤り。増えた固定費と同じ額だけ売上高を増やせばよい、と考えています。 売上高を増やすと、その70%は変動費として出ていきます。360万円増やしても、 手元に残るのは108万円だけで、固定費の増加を埋められません。
イ約514万円
誤り。360万円を変動費率0.7で割っています。固定費の回収に充てられるのは、 売上高から変動費を引いた残り(売上高の30%)です。割る数は変動費率ではなく、 1から変動費率を引いた0.3です。
ウ1,200万円
正解。売上高1円当たり、変動費を引いて残るのは0.3円です。 360万円の固定費を埋めるには、360万円÷0.3=1,200万円の売上高が要ります。
エ1,560万円
誤り。1,200万円に固定費の増加分360万円をさらに足しています。 1,200万円の増収で残る360万円が、すでに固定費の増加を埋めています。 同じ固定費を二度数えている計算です。
理解を深めるために
増えた固定費は「売上高のうち手元に残る割合」で割る
売上高が増えても、その全額が利益に回るわけではありません。この事業部では売上高の70%が 変動費として出ていくので、固定費の回収に充てられるのは残りの30%だけです。 固定費が360万円増えたなら、30%で360万円を生むだけの売上高が要ります。
計算
- 売上高1円当たり、手元に残る額: 1 − 0.7 = 0.3円
- 必要な売上高の増加: 360万円 ÷ 0.3 = 1,200万円
検算すると、1,200万円の増収で変動費は840万円増え、差し引き360万円が残ります。 これが増えた固定費360万円とちょうど相殺され、利益は導入前と同じになります。
同じ理屈で、損益分岐点売上高も1,200万円上がります。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)なので、固定費の増加分を同じ0.3で割った分だけ動くからです。
セキュリティ対策の費用を経営層に説明するとき、「年360万円」とだけ伝えると小さく見えますが、 変動費率の高い事業では、それを売上高で取り戻すにはその何倍もの増収が要ります。 費用の重さを売上高に換算して示せるのが、この計算の使いどころです。
選択肢の数字が何を表すか
| 金額 | 計算 | 判定 |
|---|---|---|
| 1,200万円 | 360 ÷(1 − 0.7) | 固定費の増加をちょうど埋める増収 |
| 360万円 | 固定費の増加をそのまま | 増収分の変動費を無視している |
| 約514万円 | 360 ÷ 0.7 | 変動費率で割っている |
| 1,560万円 | 1,200 + 360 | 固定費を二度数えている |