正解:ウ
各選択肢の解説
ア保存していた業務データを外部へ持ち出される情報漏えい。
誤り。情報漏えいは、守るべき情報が組織の外に出ることです。管理者IDで 入られたので「中身も見られたはず」と考えがちですが、この事案では保存データを 読んだ形跡がなく、外に出たものは確認されていません。
イ保存していた業務データを書き換えられる改ざん。
誤り。改ざんは、本物の情報そのものが書き換えられることです。管理者の権限が あれば書き換えもできるので混同しやすいのですが、この事案で増えたのは 勝手に起動されたサーバで、既存のデータには変化がありません。
ウ契約している計算資源を他人に勝手に使われる不正利用。
正解。情報は出ても変わってもおらず、システムも止まっていません。損なわれたのは、 自組織が料金を払って借りている計算資源を他人に使われたことで、被害は 利用料金として現れています。
エシステムに負荷をかけられて止められるサービスの妨害。
誤り。サービスの妨害は、システムを使えない状態にすることです。大量の サーバが動いたので負荷の問題に見えますが、攻撃者の目的は採掘に資源を 使うことで、既存のシステムは止まっていません。
理解を深めるために
他人の名義で電気を使われる
自宅の電気メーターに勝手に配線をつながれ、知らない誰かに電気を使われたとします。 家の中の物は何も盗まれていませんし、家電も普通に動きます。それでも、使われた分の 電気代は自分に請求されます。不正利用とは、このように自分が持つ資源や権利を、 権限のない者に勝手に使われることです。
入口と被害を分けて見る
この事案では、2つの脅威が重なっています。
- 入口: 漏れた管理者IDとパスワードでログインされた(不正アクセス)
- 被害: 契約中の計算資源を採掘に使われ、料金を請求された(不正利用)
不正アクセスは「入られたこと」を指し、入った後に何が起きたかは事案ごとに違います。 情報を持ち出されることもあれば、書き換えられることも、資源だけを使われることも あります。被害の中身を見誤ると、対応も外れます。この事案なら、まず勝手に起動された サーバを止めて料金の発生を抑え、漏れた認証情報を無効にし、多要素認証を有効にします。 クラウドは使った分だけ課金されるので、気づくのが遅れるほど被害額が増えます。
混同しやすいものとの違い
| 脅威 | 損なわれるもの | この事案では |
|---|---|---|
| 不正利用 | 資源や権利を勝手に使われる | 計算資源を採掘に使われた |
| 情報漏えい | 情報が外に出る | 保存データを読んだ形跡なし |
| 改ざん | 本物の情報が書き換わる | 既存データに変化なし |
| サービスの妨害 | システムが使えなくなる | 既存のシステムは稼働 |
「入られた」ことだけで被害の種類を決めず、情報が出たか、変わったか、止まったか、 資源を使われたかで見分けます。