正解:エ
各選択肢の解説
ア月例の作業報告書の様式に、インシデントの発生状況を記入する欄を新たに設ける。
誤り。報告の漏れは減りますが、伝わる時期は月に1回の報告のままです。今回の問題は 内容ではなく知るまでの遅さなので、定期の報告に載せても3週間の遅れは解消しません。
イ委託先の従業員に情報セキュリティの研修を年1回以上実施させ、受講記録を出させる。
誤り。研修は感染を起こしにくくする予防の対策で、委託先の管理として意味はあります。 ただ、事故は研修をしても起こりえます。起きたときに委託元へすぐ伝わる仕組みは 別に定めないと、今回と同じ遅れが繰り返されます。
ウ委託先で起きた事故は委託先の責任で対処させ、対処の結果だけを年度末に報告させる。
誤り。業務を委託しても、預けた顧客データについての責任は委託元に残ります。 顧客への連絡や、外部への報告が必要かどうかの判断は委託元が行うので、 結果だけを後から受け取る形では対応が間に合いません。
エ委託先で事故が起きたときは、定めた連絡先へ直ちに報告する義務とその手順を定める。
正解。委託元は、影響の調査や顧客への連絡、外部への報告の要否をすぐ判断する必要があります。 定期の報告とは別に、事故のときの即時の報告を契約で義務づけ、連絡先と手順を決めておきます。
理解を深めるために
預けた情報の事故は、委託元の事故でもある
業務を外部に委託しても、預けた情報の管理責任は委託元に残ります。委託先で事故が起きれば、 被害を受けるのは委託元の顧客で、説明を求められるのも委託元です。 そのため委託元は、委託先で何か起きたら、すぐに知ることができる状態を作っておく必要があります。 月に1回の作業報告書は、平常時の状況を確かめるための仕組みで、緊急時の連絡には向きません。
委託先の管理で決めておくこと
- 委託先に求める対策(研修、端末の管理など)。事故を起こしにくくする予防
- 平常時の報告と確認(定期の作業報告、監査)。対策が守られているかを確かめる
- 事故のときの報告。何を事故として扱うか、誰に、いつまでに、どの経路で伝えるか
3つは役割が違うので、どれか1つで他を代わりにはできません。今回の事例で欠けていたのは 3つ目です。報告の義務を契約に書くだけでなく、連絡先と手順まで決めておくと、 夜間や休日でも迷わず伝わります。
混同しやすいものとの違い
| 見直し | 何に効くか |
|---|---|
| 事故時の即時報告の義務と手順 | 委託元が知るまでの時間を縮める |
| 月例報告に記入欄を追加 | 報告の漏れを減らすが、伝わる時期は月1回のまま |
| 委託先の従業員への研修 | 事故を起こしにくくする予防。起きたときの連絡は別 |
| 委託先の責任で対処し結果だけ報告 | 委託元の責任が残ることを見落とし、判断が遅れる |
起きた問題が「対策の不足」なのか「知るまでの遅さ」なのかを見極めると、効く見直しが選べます。