正解:ウ
各選択肢の解説
ア全台のパスワードを、長く複雑な1つの共通の値に変更する。
誤り。推測されにくい値にはなりますが、全台が同じ値のままなので、1台の設定や 保守の記録から値が漏れれば全台に入られます。出荷時の共通パスワードが危ないのと 同じ理由で、機器ごとに値を分けることが要ります。
イ全台を再起動して不正なプログラムを消し、設定は今のまま使う。
誤り。メモリ上でだけ動く不正なプログラムなら再起動で消えることはありますが、 入られた原因である出荷時のパスワードと外部からの接続は残ります。同じ手口で すぐに乗っ取られ直すので、再発防止になりません。
ウ台ごとに別の推測されにくいパスワードにし、管理画面を外から使えなくする。
正解。入られた入口は「誰でも知っている共通のパスワード」と「外から届く管理画面」の 2つです。値を台ごとに変えて入口の鍵を替え、管理画面を外部から遮断して入口そのものを 閉じます。
エ全台のファームウェアを最新版に更新し、パスワードは出荷時のまま使う。
誤り。ファームウェアの更新は、ソフトウェアの脆弱性をふさぐ対策です。この事案では 脆弱性ではなく、公開されている出荷時のパスワードで正規にログインされています。 更新は必要ですが、パスワードを変えなければ同じ入口が開いたままです。
理解を深めるために
入られたのは「鍵が開いていた」から
ネットワークカメラやルーターなどのIoT機器は、出荷時に製品共通のパスワードが 設定されていることがあります。その値は取扱説明書やインターネット上で誰でも調べられるので、 インターネットから管理画面に届く状態で放置すると、合鍵が公開された家のようなものです。 攻撃者はこうした機器を自動で探してログインし、不正なプログラムを送り込んで、 ほかの組織への大量の通信(DDoS攻撃)の踏み台に使います。
なぜ「台ごとのパスワード」と「外からの遮断」なのか
- 共通の値は、1か所から漏れると全台に効く。台ごとに値を変えれば被害は1台で止まる
- 管理画面は設定を変える人だけが使えればよい。インターネットから届く必要はない
- IoT製品の共通の要件として、JC-STARの★1でも、製品共通の初期パスワードを使わないことや アップデートの仕組みを持つことが求められている。調達時に確かめ、導入後も使う側で設定を管理する
- 再起動やファームウェアの更新は、それぞれ別の問題(動いているプログラム/脆弱性)への手当てで、 入口になったパスワードには効かない
混同しやすい対策との違い
| 対策 | 何に効くか |
|---|---|
| 台ごとの固有パスワード+管理画面の外部遮断 | 入られた入口(共通の値と外から届く画面)をなくす |
| 共通の複雑なパスワード | 推測には強いが、1か所の漏えいで全台に入られる |
| 再起動 | 動いている不正なプログラムを止めるだけで、入口は残る |
| ファームウェアの更新 | ソフトウェアの脆弱性をふさぐ。パスワードは変わらない |
IoT機器が乗っ取られた場面では、「どこから入られたか」を特定し、その入口を閉じる対策を選びます。