正解:イ
各選択肢の解説
アベクトルは数値の並びで元の文章には戻せないので、元文書の権限だけ管理すればよい。
誤り。埋込みは文章の意味を数値で表したもので、そこから元の内容を推測される おそれが指摘されています。数値だから安全という考えは、よくある誤解です。 形が変わっても、元文書の情報を含むデータとして扱います。
イ元文書と同じ機密区分で扱い、データベースへのアクセスはRAGの処理と管理者に限る。
正解。データベースには元文書の内容が形を変えて入っています。元文書の権限を いくら絞っても、格納先が全社員に読めれば意味がありません。 データストアそのものにも、元文書と同じ水準のアクセス制御をかけます。
ウ回答画面で質問者の権限による絞り込みをしているので、データベースは全員に開放してよい。
誤り。回答画面での絞り込みは、RAGを通した利用にしか効きません。 データベースを直接読めれば、その制御を迂回できます。 利用の経路での制御と、格納先そのものの制御は別に必要です。
エデータベースを暗号化して保存していれば、全社員に読み取り権限を与えてもよい。
誤り。保存時の暗号化は、記憶媒体の盗難などで中身を読まれないための対策です。 読み取り権限を持つ利用者には復号された内容が見えます。 暗号化と、誰に読ませるかを決めるアクセス制御は役割が違います。
理解を深めるために
書類を縮小コピーしても、中身は機密のまま
機密の書類を縮小コピーして別の棚に入れたら、その棚も元の書類と同じように 鍵をかけるはずです。RAGで使う**埋込み(ベクトル)**も同じで、文章の意味を 数値に置き換えた写しです。形が変わっても、元文書の情報を含んでいます。
なぜデータストアにもアクセス制御が要るのか
RAGは、質問に関係する文書をデータストアから探し出し、生成AIに渡して回答させます。 このとき守るべき場所は2つあります。
- 利用の経路: 質問者の権限に応じて、取り出す文書を絞る
- 格納先そのもの: データストアを直接読める者を、RAGの処理と管理者に限る
前者だけでは、データストアを直接読める人に制御を迂回されます。 また、埋込みから元の文章の内容を推測される攻撃も知られているため、 ベクトルになっていることは保護を緩める理由になりません。 データストアは元文書と同じ機密区分で扱い、検証用でも必要な人に限って開放します。
混同しやすいものとの違い
| 対策 | 何を防ぐか | 全社員に開放した格納先に対して |
|---|---|---|
| 格納先のアクセス制御 | 権限のない人の直接の読み取り | これ自体が開放をやめる判断 |
| 元文書の権限管理 | 元のファイルの閲覧 | 写しには及ばない |
| 回答画面での絞り込み | RAG経由の取り出し | 直接読まれれば迂回される |
| 保存時の暗号化 | 媒体の盗難・持ち出し | 権限のある人には読める |
試験では、「データの形が変わった」「別の経路で制御している」「暗号化してある」が アクセス制御を省く理由になるかを確かめると、正解を絞れます。