問題 20★★★

工場の生産ラインを制御するPCのOSに脆弱性が公表された。制御用ネットワークはインターネットに 直接つながっていないが、事務用ネットワークとは接続している。装置メーカーは修正プログラムの 動作を未検証で、ラインを止められるのは3か月後の定期保守だけである。 この間の対応として、最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア事務用のPCと同じく、修正プログラムを公表された日のうちに適用する。

    誤り。事務用のPCなら速やかな適用が基本ですが、制御用のPCは装置と組み合わせて 動作が保証されています。未検証の修正を稼働中に当てると、装置が止まったり誤動作したり するおそれがあり、生産や安全に直接響きます。

  2. イインターネットに直接つながっていないので、定期保守まで対策は要らない。

    誤り。この工場では事務用ネットワークとつながっているので、事務用のPCが感染すれば そこから届きます。USBメモリや保守用のPCを経由して持ち込まれることもあり、 インターネットにつながっていないことは安全の理由になりません。

  3. ウ修正を適用できるまでラインを止め、生産の継続より情報の保護を優先する。

    誤り。制御システムでは、止めずに安全に動かし続けること(可用性)が特に重視されます。 通信を絞るなど修正の代わりにリスクを下げる手段があるのに、3か月ラインを止めるのは 事業への影響が大きすぎ、釣り合いを欠きます。

  4. エ事務用ネットワークとの通信を必要な分に絞り、検証後に定期保守で適用する。

    正解。すぐに修正できない間は、制御用ネットワークを事務用から切り分けて、 届く経路を減らすことでリスクを抑えます。修正はメーカーの検証を待ち、 ラインを止められる定期保守で適用します。

理解を深めるために

「すぐ直せない」なら、届く道を減らす

事務用のPCなら、脆弱性が見つかれば修正プログラムを速やかに当てるのが基本です。 ところが工場の生産ラインを動かす制御システムは、装置と組み合わせて動作が確かめられており、 止められる日も限られています。修正をすぐ当てられない間は、攻撃が届く経路を減らして しのぎ、検証が済んだら計画した停止のときに修正を当てる、という二段構えになります。

なぜ制御システムでは事務用と扱いが違うのか

  • 優先されるのは可用性と安全。止まると生産が止まり、誤動作は設備や人の安全に及ぶ
  • 機器の更新サイクルが長く、古いOSや修正をすぐ当てられない機器が使われ続けることがある
  • 「インターネットにつながっていない」ことは安全の根拠にならない。事務用ネットワーク、 USBメモリ、保守用のPCなど、外から持ち込まれる経路がある
  • そのため、制御用ネットワークを事務用から切り分け、間の通信を必要なものだけに絞る 分離の考え方が対策の中心になる

混同しやすい対応との違い

対応 何が問題か/何がよいか
通信を絞って守り、検証後に定期保守で適用 稼働を保ったまま、修正までの間のリスクを下げる
公表日のうちに適用 未検証の修正で装置が止まる・誤動作するおそれ
インターネット非接続だから対策不要 事務用ネットワークやUSBメモリから届く
修正までラインを停止 代わりの手段があるのに可用性を大きく損なう

制御システムの場面では、「修正をすぐ当てる」が正解とは限りません。止められない条件の中で、 修正までの間に何でリスクを下げるかを選びます。

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