正解:ウ
各選択肢の解説
アAIの検知精度は人より高いので、隔離や停止も含めてすべての対処を自動で実行させる。
誤り。AIの検知には誤検知があります。誤って経理担当の端末を隔離すれば、 攻撃がなくても業務が止まります。精度が高いことと、間違えないことは別です。 影響の大きい対処ほど、人の確認を挟む余地を残します。
イ誤検知で業務を止めないよう、AIが検知と判定する基準を最も厳しくして通知を減らす。
誤り。検知の基準を厳しくすると誤検知は減りますが、本物の攻撃も拾いにくくなります (見逃しが増える)。業務を止めないための工夫は、検知を減らすことではなく、 検知した後の対処を誰が決めるかで行います。
ウ隔離や停止はAIの検知を受けて担当者が確認してから行い、影響の小さい対処を自動化する。
正解。AIは検知と絞り込みを速くする道具で、判断の誤りもあります。 業務への影響が大きい対処は人が確かめてから行い、通知や記録の保全など 影響の小さい処理を自動にすれば、速さと誤検知への備えを両立できます。
エAIが検知しなかった通信は安全とみなし、それまで行っていたログの定期確認は廃止する。
誤り。AIには見逃しもあります。検知されなかったことは、攻撃がなかったことの 証明になりません。AIを入れても、ログを残して後から調べられる状態は維持します。 見逃しを前提に、他の確認手段と重ねて使います。
理解を深めるために
AIに任せるのは「見つける」まで、「止める」は人が決める
火災報知器は煙を見つけて知らせてくれますが、鳴るたびに建物の電源を自動で落とす 仕組みにはしません。調理の湯気で鳴ることもあるからです。AIを使ったセキュリティ技術 (AI for Security)も同じで、AIは大量のログから異常を見つけるのが得意ですが、 判断を誤ることがあります。
なぜ人の確認を挟むのか
AIによる検知には、2種類の誤りが必ずあります。
- 誤検知: 正常な操作を攻撃と判定する。自動で隔離すれば業務が止まる
- 見逃し: 攻撃を正常と判定する。検知されなかったことは安全の証明にならない
そこで導入時は、対処の影響の大きさで自動化の範囲を分けます。
- 影響が小さい対処(担当者への通知、関連ログの保全、チケットの起票)は自動にする
- 影響が大きい対処(端末の隔離、アカウントの停止)は、担当者が確認してから実行する
こうすると、検知から初動までは速く、誤検知で業務を止める事態は避けられます。 人の判断を処理の流れに組み込むこの考え方は、ヒューマンインザループと呼ばれます。
選択肢の方針の比べ方
| 方針 | 誤検知への備え | 見逃しへの備え |
|---|---|---|
| 影響の大きい対処だけ人が確認 | ある(人が止められる) | ある(検知は維持) |
| すべて自動で対処 | ない(誤って隔離する) | 変わらない |
| 検知の基準を厳しくする | 減る | 弱まる(見逃しが増える) |
| 検知されない通信は安全とみなす | 変わらない | ない(従来の確認も失う) |
AIを使った対策の問題では、「AIは誤ることがある」を前提にした選択肢を探します。 AIに任せきりにする選択肢や、AIの結果を安全の証明として扱う選択肢は外せます。