正解:イ
各選択肢の解説
アデジタル化の推進が目的なので、サイバーセキュリティや個人情報の保護には触れず、別の法律に委ねている。
誤り。「推進のための法律だから守りの話は別」と考えがちですが、同法は施策の策定にあたって サイバーセキュリティの確保や個人情報の保護の措置を講じるよう定めています。推進と安全の確保を 同じ法律の中で求めている点が区別のポイントです。
イ施策の策定にあたり、サイバーセキュリティの確保や個人情報の保護など、安心して利用できるための措置を求めている。
正解。同法はデジタル社会の形成に関する施策の策定にあたり、サイバーセキュリティの確保、 本人確認の信頼性の確保、個人情報の保護などの措置を講じ、国民が安心して利用できるようにすると定めています。
ウ事業者に対し、自社のデジタル化の計画を作成し、国に届け出て承認を受けることを義務づけている。
誤り。同法で計画(デジタル社会の形成に関する重点計画)を作るのは政府です。事業者については、 自らデジタル社会の形成の推進に努め、国や地方公共団体の施策に協力するよう努める、という努力義務にとどまります。
エ官民が保有するデータを国民が容易に利用できるよう、都道府県に推進計画の策定を義務づけている。
誤り。これは官民データ活用推進基本法の内容です。どちらも「基本法」で国の施策の方向を定めるため混同しやすいのですが、 官民データ活用推進基本法はデータの活用に絞った法律で、デジタル社会形成基本法はデジタル社会全体の基本理念を定めます。
理解を深めるために
推進の法律が「安全」も書いている
デジタル社会形成基本法は、デジタル化を進めるための法律です。名前から「便利にする話」だけを 想像しがちですが、同法は推進と同時に、安心して使えるようにすることを施策の条件にしています。 DX推進方針に「利便性と安全をセットで考える」と書くなら、その裏付けとして引用できる法律です。
法律が求めていること
デジタル社会形成基本法(令和3年法律第35号)は、デジタル社会の形成について基本理念と施策の方針を定めます。
- 基本理念として、個人と法人の権利利益が害されないようにしつつ、信頼性のある情報の自由で安全な流通を確保することを掲げる
- 施策の策定にあたっては、サイバーセキュリティの確保、情報通信技術を用いた犯罪の防止、本人確認の信頼性の確保、 情報の改変の防止、個人情報の保護などの措置を講じ、国民が安心して利用できるようにする
- 政府は「デジタル社会の形成に関する重点計画」を作成する
- 事業者は、自らデジタル社会の形成の推進に努め、国や地方公共団体の施策に協力するよう努める(努力義務)
基本法なので、事業者に具体的な手続や届出を課す法律ではありません。国の施策の方向を決め、 その方向の中にセキュリティと個人情報の保護が組み込まれている、という読み方をします。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 何を定めるか |
|---|---|
| デジタル社会形成基本法 | デジタル社会全体の基本理念。施策にセキュリティ確保・個人情報保護の措置を求める |
| 官民データ活用推進基本法 | 官民データの活用に絞った基本法。都道府県に計画の策定を求める |
| 重点計画 | デジタル社会形成基本法に基づき政府が作る計画で、事業者が作るものではない |
| 推進と安全を切り離す考え方 | 同法の考え方とは逆。安全の確保は推進の前提として書かれている |
試験では「誰に何を求める法律か」で見分けます。基本法は国の方向を示し、事業者には努力を求めるにとどまります。