問題 9★★☆

自社の設計資料を委託先候補に開示する前に、守秘契約(NDA)を結ぶ。一般的なNDAの条項で、 受領者が負う秘密保持義務の対象から除かれる情報として、最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア開示を受ける前から、受領者が秘密保持義務を負わずに正当に保有していた情報

    正解。もともと受領者の手元に正当にあった情報は、開示によって得たものではないので、 秘密保持義務の対象から外すのが一般的です。開示者から得た情報だけを縛る、という考え方です。

  2. イ開示を受けた後に、受領者の従業員の不注意で外部に流出して公知になった情報

    誤り。公知になった情報は除かれますが、それは受領者の責任によらずに公知になった場合です。 受領者の過失で流出したのなら、それ自体が義務の違反です。「公知になった」だけでなく、 誰のせいで公知になったかを見ます。

  3. ウ開示を受けた資料を基にして、受領者が社内で作成した要約や分析の資料

    誤り。受領者が作った資料でも、中身は開示された秘密情報から来ています。形を変えて持てば 義務を免れる、となれば契約の意味がなくなります。独自に開発した情報が除かれるのは、 開示された情報を使わずに作った場合です。

  4. エ契約の終了時に受領者が返還せず、社内に複製が残ったままになっている情報

    誤り。返還や廃棄をしなかったことは、それ自体が返還・廃棄の条項への違反になりえます。 手元に残ったからといって秘密でなくなるわけではありません。義務の対象から外れるのは 情報の出どころや公知性による場合で、受領者の扱い方の結果ではありません。

理解を深めるために

NDAが縛るのは「相手から受け取った秘密」だけ

NDAは、開示した情報を目的外に使ったり、他に漏らしたりしないよう相手に約束させる契約です。 ただし、相手がもともと知っていたことまで「今後は口外するな」と縛るのは筋が通りません。 そこで一般的なNDAでは、秘密情報の定義から除く情報をあらかじめ列挙しておきます。

一般的に除かれる情報

経済産業省が「秘密情報の保護ハンドブック」の参考資料で示している秘密保持契約書の例にも、 次のような除外の条項があります。

  • 開示の時点で、すでに公知だった情報
  • 開示の後に、受領者の責めによらずに公知になった情報
  • 開示の時点で、受領者がすでに保有していた情報
  • 第三者から、秘密保持義務を負わずに正当に入手した情報
  • 開示された情報によらずに、受領者が独自に開発した情報

どれも「その情報が受領者の手にあるのは、開示を受けたからではない」か「もう秘密ではない」という理由です。 受領者の過失や、受領者の扱い方の結果として生じた状態は、除外の理由になりません。

混同しやすいものとの違い

情報 除かれるか 理由
開示前から正当に保有していた情報 除かれる 開示によって得たものではない
受領者の過失で流出し公知になった情報 除かれない 流出そのものが義務違反
開示資料を基に作った要約・分析 除かれない 中身は開示された秘密情報
返還せずに残った複製 除かれない 返還・廃棄の義務への違反

除外の条項は「情報の出どころ」と「受領者の責任によらない公知化」で決まります。受領者の側の不手際で生じた状態は、義務を免れる理由にはなりません。

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