正解:イ
各選択肢の解説
ア1回ごとの照合の精度は同じなので、他人を通してしまう可能性も変わらない。
誤り。1組の照合で誤る確率が同じでも、1回の認証で照合する相手が200人なり5,000人に 増えれば、そのどれかと誤って一致する機会も増えます。照合1回の精度と、 認証1回で誤る可能性を取り違えています。
イ照合する相手が増えるので、ほかの誰かと誤って一致し、他人を通す可能性が高まる。
正解。全員と照合する方式では、1回の認証の中で多数の登録データと比べます。 相手が増えるほど誰かと誤って一致する機会が増え、他人受入が起きやすくなります。
ウ静脈は体の内部の情報なので、登録者が増えても他人受入は起こらない。
誤り。静脈は外から写し取りにくく偽造に強いという特徴はありますが、照合で他人を 本人と誤る確率はゼロではありません。偽造しにくさと誤判定の起こりにくさは別の性質です。
エ社員証を使わなくなるので、紛失した社員証の悪用とともに他人受入率も下がる。
誤り。紛失した社員証の悪用は持ち物の要素の弱点で、確かに無くなります。しかし、 他人受入率は生体情報の照合で起きる誤りで、社員証をやめても下がりません。 むしろ照合の相手が増える分、上がる方向です。
理解を深めるために
「誰と比べるか」で誤りの起こりやすさが変わる
社員証をかざす方式では、システムは「この人は社員証の持ち主か」を、その1人の登録データ とだけ比べて確かめます。手のひらだけの方式では、「この人は登録者のうち誰か」を、 全員の登録データと比べて探します。後者は1回の認証で何千回も比べるので、 どれか1件と誤って一致する機会がそれだけ増えます。
なぜ他人受入が増えるのか
1組の照合で他人を本人と誤る確率がごく小さくても、比べる相手が多ければ、 認証1回あたりで「誰かと一致してしまう」確率は相手の数に応じて大きくなります。
- 1人とだけ比べる方式: 誤って一致する相手の候補は1人
- 全員と比べる方式: 候補は登録者の数だけある(今回は5,000人)
このため、全員と比べる方式に変えるときは、識別の精度が高い方式を選ぶ、判定の基準を 見直す、暗証番号などほかの要素と組み合わせて照合する範囲を絞る、といった検討が要ります。 便利さと引き換えに何が変わるかを確かめないまま切り替えないことが大切です。
混同しやすい考え方との違い
| 考え方 | 正しくは |
|---|---|
| 照合の相手が増え、他人受入が起きやすくなる | 認証1回で比べる回数が増えるため |
| 1回の照合の精度は同じなので変わらない | 精度は同じでも比べる回数が増える |
| 静脈なら他人受入は起こらない | 偽造しにくさと誤判定の確率は別 |
| 社員証をやめれば他人受入率も下がる | 持ち物の弱点が消えるだけで照合の誤りは別 |
試験では、方式の切替えや利用者数の変化を置いて、他人受入率と本人拒否率の どちらにどう影響するかを考えさせる形で問われます。