問題 42★★☆

情報システム部では、ファイアウォールの通信許可ルールの変更を1人の担当者が受け持っており、 変更の要否の判断から設定作業、作業後の確認までを、その担当者だけで済ませている。 この運用の見直しとして、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア変更の手順書を詳しく定め、担当者が手順書に沿って作業するようにする。

    誤り。手順書は作業の誤りを減らすのに役立ちますが、判断から確認まで1人で完結する形は残ります。 手順を外れた変更や不要な許可ルールが加わっても、ほかに気づく人がいません。 どうやるかを決めることと、誰が担うかを分けることは別の対策です。

  2. イ設定変更の操作ログを取得し、一定期間保存するようにする。

    誤り。ログは後から何が行われたかをたどる材料になりますが、記録を残すだけです。 誰も見なければ不適切な変更は見逃されたままで、ログの点検まで同じ担当者が行うなら 状況は変わりません。記録の取得と、別の人が確かめる仕組みは区別します。

  3. ウ変更の承認と作業後の確認を、作業する担当者とは別の者が行うようにする。

    正解。職務の分離です。承認・作業・確認を別の人に分ければ、1人の誤りや不正が ほかの人の目を通らずに通ってしまうことを防げます。

  4. エ担当者を、ファイアウォールの設定に習熟した経験の長い者に限る。

    誤り。熟練者に限れば単純な誤りは減るかもしれませんが、1人で完結する構造はそのままです。 熟練者でも思い込みによる誤りは起こり、権限を悪用されたときに止める人もいません。 人を信頼することと、仕組みで確かめることは別の話です。

理解を深めるために

1人で「決めて・やって・確かめる」をさせない

家計の支払いを1人で決めて、1人で払い、1人で帳簿を確認していれば、 間違いがあっても誰も気づきません。設定の変更も同じで、判断・作業・確認を1人で抱えると、 誤りも不正もそのまま通ってしまいます。 これを防ぐのが職務の分離で、 JIS Q 27002 では組織的管理策に含まれます。

なぜ分けると効くのか

職務の分離は、両立させると危ない職務を別の人に割り当てる考え方です。 ファイアウォールのルール変更なら、例えば次のように分けます。

  • 変更の要否を判断し、承認する人
  • 承認された内容どおりに設定する人
  • 設定後、意図どおりになっているかを確かめる人

こうしておけば、誤った設定や不要な許可ルールが入っても、別の人の段階で見つかります。 1人で悪意を持っても、ほかの人と共謀しない限り通せなくなります。

混同しやすい対策との違い

対策 何に効くか 1人で完結する形
職務の分離(承認・確認を別の者に) 誤り・不正を別の人の目で止める なくなる
手順書の整備 作業のやり方をそろえる 残る
操作ログの取得 後から何をしたかをたどる 残る
熟練者への限定 単純な誤りを減らす 残る

どれも役に立つ対策ですが、問題文の「1人だけで済ませている」という状態を直接変えるのは 職務の分離だけです。運用の見直しを問われたら、何が残っているかに注目して選びます。

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