正解:ウ
各選択肢の解説
ア変更の手順書を詳しく定め、担当者が手順書に沿って作業するようにする。
誤り。手順書は作業の誤りを減らすのに役立ちますが、判断から確認まで1人で完結する形は残ります。 手順を外れた変更や不要な許可ルールが加わっても、ほかに気づく人がいません。 どうやるかを決めることと、誰が担うかを分けることは別の対策です。
イ設定変更の操作ログを取得し、一定期間保存するようにする。
誤り。ログは後から何が行われたかをたどる材料になりますが、記録を残すだけです。 誰も見なければ不適切な変更は見逃されたままで、ログの点検まで同じ担当者が行うなら 状況は変わりません。記録の取得と、別の人が確かめる仕組みは区別します。
ウ変更の承認と作業後の確認を、作業する担当者とは別の者が行うようにする。
正解。職務の分離です。承認・作業・確認を別の人に分ければ、1人の誤りや不正が ほかの人の目を通らずに通ってしまうことを防げます。
エ担当者を、ファイアウォールの設定に習熟した経験の長い者に限る。
誤り。熟練者に限れば単純な誤りは減るかもしれませんが、1人で完結する構造はそのままです。 熟練者でも思い込みによる誤りは起こり、権限を悪用されたときに止める人もいません。 人を信頼することと、仕組みで確かめることは別の話です。
理解を深めるために
1人で「決めて・やって・確かめる」をさせない
家計の支払いを1人で決めて、1人で払い、1人で帳簿を確認していれば、 間違いがあっても誰も気づきません。設定の変更も同じで、判断・作業・確認を1人で抱えると、 誤りも不正もそのまま通ってしまいます。 これを防ぐのが職務の分離で、 JIS Q 27002 では組織的管理策に含まれます。
なぜ分けると効くのか
職務の分離は、両立させると危ない職務を別の人に割り当てる考え方です。 ファイアウォールのルール変更なら、例えば次のように分けます。
- 変更の要否を判断し、承認する人
- 承認された内容どおりに設定する人
- 設定後、意図どおりになっているかを確かめる人
こうしておけば、誤った設定や不要な許可ルールが入っても、別の人の段階で見つかります。 1人で悪意を持っても、ほかの人と共謀しない限り通せなくなります。
混同しやすい対策との違い
| 対策 | 何に効くか | 1人で完結する形 |
|---|---|---|
| 職務の分離(承認・確認を別の者に) | 誤り・不正を別の人の目で止める | なくなる |
| 手順書の整備 | 作業のやり方をそろえる | 残る |
| 操作ログの取得 | 後から何をしたかをたどる | 残る |
| 熟練者への限定 | 単純な誤りを減らす | 残る |
どれも役に立つ対策ですが、問題文の「1人だけで済ませている」という状態を直接変えるのは 職務の分離だけです。運用の見直しを問われたら、何が残っているかに注目して選びます。