問題 20★★★

設計部の情報セキュリティ担当者Aは、取引先X社から預かった図面を、X社との契約で禁じられている 他社向けの案件にも部門で流用していることに気付いた。上司は「以前からのやり方で、問題になったことはない」と言う。 Aの対応として最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア長年の慣行でX社からの苦情もないので、問題が表に出るまでは従来どおり続ける。

    誤り。これは前例を理由にした現状維持です。苦情がないのは、X社が流用を知らないからかもしれません。 問題が起きたかどうかではなく、契約というきまりに反しているかどうかで判断します。

  2. イ法令ではなく取引先との契約の問題なので、コンプライアンスの対象外として扱う。

    誤り。コンプライアンスを「法令遵守」とだけ訳すと、こう考えがちです。 実際には法令に加え、社内規程や契約、社会の規範に沿うことまで含みます。契約違反も対象です。

  3. ウ自分が担当する図面だけ流用をやめ、部門の慣行については担当外として関与しない。

    誤り。自分の手元だけを直して、気付いた違反を組織に伝えない対応です。 部門の流用が続けば違反はなくならず、組織として是正する機会も失われます。

  4. エ契約に反する流用をやめるよう上司に伝え、改まらなければ社内の相談窓口に相談する。

    正解。契約違反はコンプライアンスの問題なので、まず上司に是正を求めます。 上司が応じないときは、社内の相談窓口など組織が用意した経路で是正を求めます。

理解を深めるために

コンプライアンスは「法令だけ守ればよい」ではない

コンプライアンスは「法令遵守」と訳されますが、守る対象は法令に限りません。 社内規程、取引先との契約、社会の規範や倫理まで含みます。 取引先から預かった図面を契約で禁じられた用途に使うのは、契約違反なのでコンプライアンスの問題です。

なぜ「上司に伝え、改まらなければ窓口へ」なのか

この場面には、前例・担当外・法令ではない、と見過ごす理由がそろっています。 しかし、どれも違反を続けてよい理由にはなりません。

  • 苦情がないのは、取引先が流用を知らないだけかもしれない。発覚すれば取引先の信頼を失い、損害賠償を求められるおそれもある
  • 担当者1人が手元を直しても、部門の流用は続く
  • 部門で是正できないときのために、組織は相談や通報の窓口を用意している

まず上司に是正を求め、それでも改まらなければ組織が用意した経路で知らせます。 コンプライアンスは個人が守るだけでなく、違反に気付いたときに組織が是正できるようにすることまで含みます。 経営陣がそうした体制を整え、取締役会が監督するのが、コーポレートガバナンスの役割です。

選択肢の行動の違い

対応 何が足りないか
上司に是正を求め、改まらなければ窓口に相談 (足りないものはない)
苦情がないので続ける 起きたかではなく、きまりに反するかで判断していない
契約の問題なので対象外とする コンプライアンスの範囲を法令だけに狭めている
自分の分だけやめて関与しない 部門の違反を組織に伝えていない

「法令違反ではない」「前からそうしている」は、違反を見過ごすときの典型的な言い訳です。 契約や社内規程に反していれば、コンプライアンスの問題として扱います。

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