問題 17★★☆

情報システム部の担当者が、内部監査部門の監査に応援として加わることになった。 割り当てられた監査対象は、自分が所属する情報システム部のアクセス管理の運用だった。 この担当者の対応として最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア運用の実情に詳しく効率よく監査できるので、割り当てのとおり引き受けて担当する。

    誤り。詳しいことは監査の効率には役立ちますが、自分が属する部門の運用を自分で評価することになります。 これは自己監査で、甘くなるおそれがあり、外から見ても公正な監査とは受け取られません。

  2. イ自部門でも公正に判断するよう心掛け、そのことを関係者に伝えたうえで引き受ける。

    誤り。公正であろうとする心構えは精神上の独立性で、監査人に必要なものです。 しかし同じ指揮命令系統にいる事実は心構えでは消えず、第三者から見た独立性(外観上の独立性)は満たせません。

  3. ウ自部門が監査対象であることを監査責任者に申し出て、他部門の担当に替えてもらう。

    正解。監査人は監査対象から独立した立場にあることが求められます。自部門を割り当てられたら、 割り当てを決める監査責任者に申し出て、担当を替えてもらうのが適切です。

  4. エ所属する情報システム部の部長に事情を説明し、了承を得たうえで引き受けて担当する。

    誤り。情報システム部の部長は、監査を受ける側の責任者です。その了承を得ても独立性は回復しません。 むしろ監査対象の上司の意向が監査に入り込む形になり、独立性をさらに損ないます。

理解を深めるために

自分のチームの答案は、自分で採点しない

スポーツの試合で、片方のチームの監督が審判を務めたら、どれだけ公平に笛を吹いても観客は納得しません。 監査も同じで、監査人は監査対象から独立していなければなりません。 自部門を割り当てられたら、割り当てを決める監査責任者に申し出て、担当を替えてもらうのが適切です。

独立性には2つの面がある

経済産業省のシステム監査基準(令和5年改訂)は、【基準4】で監査の独立性と客観性の保持を求めています。 独立性は、一般に次の2つの面で整理されます。

  • 外観上の独立性: 第三者から見て、監査対象と利害関係や同じ指揮命令系統の関係がないこと
  • 精神上の独立性: 監査人自身が、公正で客観的な態度で判断すること

心構え(精神上の独立性)だけでは、外から見た独立性は満たせません。 自分が所属する部門は、監査対象と同じ指揮命令系統にあるので、外観上の独立性が成り立たない典型です。 内部監査に他部門から応援が入る場合でも、自部門の監査は担当しないように割り当てます。

混同しやすい対応との違い

対応 独立性から見ると
監査責任者に申し出て担当を替えてもらう 独立性を保てる
詳しいので引き受ける 自己監査になる
公正さを心掛けて引き受ける 精神上の独立性だけで、外観上は満たせない
所属部長の了承を得て引き受ける 監査を受ける側の了承で、独立性は戻らない

「誰に申し出るか」と「心構えで足りるか」の2点で選択肢を見分けます。

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