正解:ウ
各選択肢の解説
ア運用の実情に詳しく効率よく監査できるので、割り当てのとおり引き受けて担当する。
誤り。詳しいことは監査の効率には役立ちますが、自分が属する部門の運用を自分で評価することになります。 これは自己監査で、甘くなるおそれがあり、外から見ても公正な監査とは受け取られません。
イ自部門でも公正に判断するよう心掛け、そのことを関係者に伝えたうえで引き受ける。
誤り。公正であろうとする心構えは精神上の独立性で、監査人に必要なものです。 しかし同じ指揮命令系統にいる事実は心構えでは消えず、第三者から見た独立性(外観上の独立性)は満たせません。
ウ自部門が監査対象であることを監査責任者に申し出て、他部門の担当に替えてもらう。
正解。監査人は監査対象から独立した立場にあることが求められます。自部門を割り当てられたら、 割り当てを決める監査責任者に申し出て、担当を替えてもらうのが適切です。
エ所属する情報システム部の部長に事情を説明し、了承を得たうえで引き受けて担当する。
誤り。情報システム部の部長は、監査を受ける側の責任者です。その了承を得ても独立性は回復しません。 むしろ監査対象の上司の意向が監査に入り込む形になり、独立性をさらに損ないます。
理解を深めるために
自分のチームの答案は、自分で採点しない
スポーツの試合で、片方のチームの監督が審判を務めたら、どれだけ公平に笛を吹いても観客は納得しません。 監査も同じで、監査人は監査対象から独立していなければなりません。 自部門を割り当てられたら、割り当てを決める監査責任者に申し出て、担当を替えてもらうのが適切です。
独立性には2つの面がある
経済産業省のシステム監査基準(令和5年改訂)は、【基準4】で監査の独立性と客観性の保持を求めています。 独立性は、一般に次の2つの面で整理されます。
- 外観上の独立性: 第三者から見て、監査対象と利害関係や同じ指揮命令系統の関係がないこと
- 精神上の独立性: 監査人自身が、公正で客観的な態度で判断すること
心構え(精神上の独立性)だけでは、外から見た独立性は満たせません。 自分が所属する部門は、監査対象と同じ指揮命令系統にあるので、外観上の独立性が成り立たない典型です。 内部監査に他部門から応援が入る場合でも、自部門の監査は担当しないように割り当てます。
混同しやすい対応との違い
| 対応 | 独立性から見ると |
|---|---|
| 監査責任者に申し出て担当を替えてもらう | 独立性を保てる |
| 詳しいので引き受ける | 自己監査になる |
| 公正さを心掛けて引き受ける | 精神上の独立性だけで、外観上は満たせない |
| 所属部長の了承を得て引き受ける | 監査を受ける側の了承で、独立性は戻らない |
「誰に申し出るか」と「心構えで足りるか」の2点で選択肢を見分けます。