正解:ア
各選択肢の解説
アID・パスワードなどで、契約先だけがデータを取得できるように電磁的に管理する。
正解。限定提供データは、特定の相手に提供するために電磁的方法で相当量蓄積し、管理しているデータです。 契約先以外が取得できないようにする電磁的な管理が、保護を受ける前提になります。
イ契約先と利用条件を定めた契約を結べば、データの取得に技術的な制限は設けない。
誤り。契約で利用条件を縛るのは大切ですが、限定提供データの定義は電磁的方法による管理を求めています。 誰でも取得できる状態のままでは、契約があっても特定の相手に限って提供しているとはいえません。
ウデータの選び方や並べ方に工夫を加え、データベースの著作物として創作性をもたせる。
誤り。これはデータベースの著作物として著作権法で守る考え方です。限定提供データは創作性を求めないので、 機械が集めただけの稼働データでも対象になります。保護の要件を取り違えています。
エ提供を始める前に、限定提供データとして所管の行政機関に届け出て登録を受ける。
誤り。限定提供データに届出や登録の制度はありません。登録で権利が生まれるのは特許権や商標権で、 限定提供データは営業秘密と同じく、管理の実態があれば不正競争防止法の保護を受けます。
理解を深めるために
「相手を限って配るデータ」を守る仕組み
会員制のデータ提供サービスを思い浮かべてください。お金を払った会員だけがログインしてダウンロードできます。 このデータを会員の誰かが不正に持ち出して転売しても、データは外部に提供しているので営業秘密としては守りにくく、 機械が集めた数値の集まりなので著作物にもなりません。 この隙間を埋めるのが、不正競争防止法の限定提供データです。
定義から読み取れる要件
不正競争防止法は、限定提供データを「業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、 及び管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密を除く。)」と定めています。
- 特定の者に提供する(誰にでも渡すデータではない)
- 電磁的方法で相当量蓄積されている
- 電磁的方法で管理されている(ID・パスワードなどで、提供先以外が取得できないようにする)
担当者として押さえるのは3つ目です。契約書があっても、取得の制限を技術的にかけていなければ管理の要件を欠くおそれがあります。 要件を満たしていれば、不正に取得されたり、提供先が不正な目的で使用・開示したりしたときに、差止めや損害賠償を求められます。
混同しやすいものとの違い
| 制度 | 守る対象 | 保護の前提 |
|---|---|---|
| 限定提供データ | 特定の相手に提供する相当量のデータ | 電磁的方法による管理(登録不要) |
| 営業秘密 | 秘密として管理された有用な情報 | 秘密管理性・有用性・非公知性 |
| データベースの著作物 | 情報の選択・体系的な構成に創作性があるもの | 創作性 |
| 特許権・商標権 | 発明・商標 | 出願と登録 |
「外部に渡しているか」で営業秘密と、「創作性が要るか」で著作権と切り分けると、限定提供データの位置が見えてきます。