問題 20★★★

製造部門が、製品の歩留まりを大きく上げる独自の製造条件を見つけた。この条件は完成品を分析しても 読み取れない。経営層は、内容を外部に知られないまま、他社に使われないよう法的な保護も受けたいと考えている。 この方針に合う対応として最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア特許を出願し、権利を取得したうえで製造条件を独占的に実施する。

    誤り。特許は発明を公開する代わりに独占権を与える制度で、出願から一定期間がたつと内容が公開されます。 法的な保護は強いものの、「外部に知られないまま」という方針とは両立しません。

  2. イ製造条件を記した文書を著作物とし、著作権によって条件の利用を禁じる。

    誤り。著作権が守るのは文書の表現で、そこに書かれた製法や考え方そのものではありません。 文書を丸ごと写されるのは防げても、条件を読んで同じ方法で製造されるのは止められません。

  3. ウ契約した取引先にだけ提供するデータとして蓄積し、限定提供データとして守る。

    誤り。限定提供データは、業として特定の相手に提供するために電磁的に蓄積・管理するデータの保護です。 社内に閉じておきたいノウハウとは前提が逆で、しかも定義上、営業秘密に当たる情報は除かれます。

  4. エ秘密である旨を示してアクセスを限り、営業秘密として保護を受けられる状態にする。

    正解。営業秘密は登録も公開も要らず、秘密管理性・有用性・非公知性を満たせば、 不正に取得・使用した者に差止めや損害賠償を求められます。分析で読み取れない製法に向いた守り方です。

理解を深めるために

「隠したまま守る」なら営業秘密

技術を守る方法は、大きく「公開して権利をもらう」か「隠して管理する」かに分かれます。 特許は前者で、内容を世の中に公開する見返りに独占権を得ます。 営業秘密は後者で、秘密として管理していれば、登録しなくても不正競争防止法で守られます。 完成品を分析しても分からない製法は、隠し通せる見込みがあるので、営業秘密として管理する選択が合います。

営業秘密として守られるための条件と効果

不正競争防止法の営業秘密は、次の3つをすべて満たす情報です。

  • 秘密として管理されている(秘密管理性)
  • 生産方法・販売方法など、事業活動に有用な技術上・営業上の情報である(有用性)
  • 公然と知られていない(非公知性)

条件を満たしていれば、窃取などで不正に取得された場合や、示された者が不正な目的で使用・開示した場合に、 差止めや損害賠償を請求できます。担当者として最初にやるべきなのは、 秘密である旨の表示とアクセスできる人の限定で、秘密管理性を外から分かる形にしておくことです。 管理していなければ、どれほど価値のある情報でも営業秘密として守られません。

混同しやすいものとの違い

守り方 守る対象 内容の公開
営業秘密(不正競争防止法) 秘密として管理された有用な情報 しない(登録も不要)
特許権 発明 出願後に公開される
著作権 表現(考え方や製法は守らない) 問わない
限定提供データ 特定の相手に提供する、電磁的に管理された相当量のデータ 相手を限って提供する

「公開したくない」のか「相手を限って渡したい」のか、守りたいのが「表現」か「中身」かで切り分けると、 どの制度を使うかが決まります。

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