社内の申請アプリを作り直すチームが、早く形にしたいと画面案から描き始めた結果、 その機能が何のために要るのかを説明できなくなった。構造化シナリオ法による 進め方として、最も適切なものはどれか。
正解:エ
ア画面の遷移図をまず完成させ、そこから必要な機能と利用者の目的を逆にたどる。
誤り。これは今回つまずいた進め方そのものです。画面から出発すると、 その機能が要る理由を後づけで説明することになります。構造化シナリオ法は、 具体から抽象へではなく抽象から具体へ向かう手順です。
イ利用者の行動と、それを支える担当部署の作業を上下に対応づけて一枚に描く。
誤り。これはサービスブループリントの説明です。提供側の裏側まで含めて 現状や構想を可視化する図で、抽象度を段階的に下げていく手順ではありません。 描く対象が「役割の対応」であって「段階を追ったシナリオ」ではない点が違います。
ウ想定する利用者を一人の人物像として固め、その属性と生活の様子を詳しく描く。
誤り。これはペルソナの説明です。シナリオを書くときの登場人物として 前提になるものですが、それ自体は一人の人物像であって、 価値から操作へと順に具体化していく手順ではありません。
エ利用者にとっての価値を描いてから、行動、画面上の操作の順に具体化していく。
正解。価値のシナリオ、行動のシナリオ、操作のシナリオと段階を踏むので、 画面上の一つ一つの操作が「どの価値のためか」までさかのぼって説明できます。 今回のように理由を見失う事態を防げます。
「何のために」から「どう押すか」へ降りていく
家を建てるとき、いきなり壁紙の色から決める人はいません。 どんな暮らしがしたいか、そのために部屋をどう使うか、 最後に内装をどうするか、という順に決めていきます。
実現したいことを、価値 → 行動 → 操作と、抽象から具体へ三段階で書き下ろすのが 構造化シナリオ法です。
三つのシナリオ
| 段階 | 書く内容 |
|---|---|
| 価値のシナリオ | 利用者にとって何がうれしいのか、どんな価値を届けるのか |
| 行動のシナリオ | その価値を得るために、利用者はどう振る舞うのか |
| 操作のシナリオ | その行為を、画面や機器の上でどう操作として実現するのか |
上の段が下の段の根拠になるので、操作の一つ一つに「なぜ」の答えがある状態で 設計を進められます。逆に画面から始めると、後から機能を足し引きするたびに 判断の拠り所がなくなります。
混同しやすいものとの違い
構造化シナリオ法は「段階を追って降りていく手順」です。 これに対し、サービスブループリントは顧客と提供側の対応関係を一枚に描く図、 ペルソナはシナリオに登場する利用者像そのもので、いずれも手順ではありません。
試験では「価値・行動・操作」の三語、または 「抽象から具体へ順に具体化する」という言い回しが合図になります。