デザインのアプローチデザインのアプローチ★★☆

ある病院が、患者の受診体験を良くするためにサービスデザインの考え方を取り入れることにした。 この考え方に沿った取組みとして、最も適切なものはどれか。

正解:

  1. 予約用アプリの画面を見やすく作り替え、入力の手数を減らすことに絞って改善する。

    誤り。これは一つの接点の使いやすさを高める取組みです。予約は体験の入口に すぎず、来院後の待ち時間や会計の分かりにくさは残ります。 サービスデザインは、接点をつないだ流れ全体を対象にします。

  2. 診察の待ち時間を部門ごとに測って目標値を定め、達しない部門に改善を求める。

    誤り。これは指標を決めて部門ごとに改善させる業務管理の進め方です。 部門単位で最適化すると、検査から会計への引継ぎのように部門のはざまで 起きる不便が見落とされます。サービスデザインは、そのつなぎ目を扱います。

  3. 医療機器や設備を最新のものに入れ替え、他の病院にはない提供内容を打ち出す。

    誤り。提供する物そのものを良くする発想です。設備が最新でも、 受付から会計までの流れが分かりにくければ患者の体験は変わりません。 サービスデザインは、物より提供のされ方に目を向けます。

  4. 予約から会計までの患者の体験を、職員の動きや院内の案内まで含めて設計する。

    正解。患者が受け取る体験は、職員の動きや院内の案内表示、裏側の情報連携に 支えられています。表に見える体験と、それを支える提供側の仕組みを あわせて設計するのがサービスデザインです。

患者が覚えているのは「一日の流れ」

患者にとっての体験は、予約の電話、受付、待合、診察、検査、会計、次回の予約が つながった一日です。どれか一つだけが快適でも、検査室の場所が分からず院内を さまよえば、その日の印象は決まってしまいます。サービスデザインは、 この流れ全体を、それを支える人・場所・裏側の業務まで含めて設計する考え方です。

何を設計の対象にするか

  • 患者から見える部分:案内表示、職員の声掛け、待合の掲示、会計の手順
  • 患者から見えない部分:電子カルテの連携、職員の配置、部門間の引継ぎ
  • つなぎ目:受付から診察へ、診察から会計へと移る場面で起きる待ちや迷い

見えない部分まで対象に含めるのは、患者が感じる不便の多くが、 裏側の仕組みの都合から生まれているからです。案内表示を増やすだけでは直りません。

近い考え方との違い

考え方 何に軸があるか
サービスデザイン 体験の流れ全体を、提供側の仕組みまで含めて設計する
UX 利用者が得る体験そのもの。サービスデザインが良くしようとする対象
デザイン思考 何を作るべきかを、観察と試作から探る発想の進め方
業務改善 既にある業務の無駄や遅れを、部門ごとに減らす

サービスデザインを実際に進めるときは、カスタマージャーニーマップや サービスブループリントといった図を使います。ただしそれらは道具であって、 考え方そのものではない点に注意してください。

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