デザインのアプローチデザインのアプローチ★☆☆

新規事業の検討チームが、デザイン思考を取り入れて進めることにした。 デザイン思考の説明として、最も適切なものはどれか。

正解:

  1. 過去の売上データを統計的に分析し、最も利益が見込める案を計算で選び出す。

    誤り。これは分析に基づいて案を選ぶ進め方です。選択肢が出そろっている場面では 有効ですが、前例のない事業では分析するデータ自体がありません。 デザイン思考は、選ぶ前の「案を見つける」段階のための進め方です。

  2. 利用者の観察から課題を捉え直し、試作と検証を素早く繰り返して答えを探る。

    正解。何を作るべきか分からない段階では、机上で考え込むより、 作って試したほうが早く分かります。観察で得た気付きから課題を定義し直し、 試作で確かめる往復を素早く回すのがデザイン思考です。

  3. 業務の流れの無駄を洗い出し、手順を標準化して費用と時間を減らしていく。

    誤り。これは業務改善の進め方です。今あるやり方をより効率よくすることが目的で、 対象も進むべき方向も決まっています。デザイン思考は、まだ何をすべきかが 決まっていない問題に向けて使います。

  4. 製品や画面の見た目を美しく整え、他社にはない印象を持たせるようにする。

    誤り。見た目を整える意匠としてのデザインの説明です。「デザイン」という語から 最も連想されやすい誤解ですが、デザイン思考が指すのは、デザイナーが 問題に取り組むときの考え方の進め方であって、装飾の作業ではありません。

答えが分からない問題には、作って聞きに行く

「地方の高齢者向けに何か新しい事業を」と言われても、何を作ればよいかは 会議室では出てきません。そこで実際に住民の一日に同行し、買い物に困る場面を見る。 「移動が大変なのではなく、重い物を持てないのだ」と課題を捉え直す。 紙の注文票だけで試してみて、反応を見てまた直す。この進め方がデザイン思考です。

進め方の流れ

  • 共感:利用者を観察し、話を聞いて、その人の立場から状況をつかむ
  • 問題定義:観察から分かったことをもとに、解くべき課題を言葉にし直す
  • 発想:課題に対する案を、質より量で数多く出す
  • 試作・検証:粗くてよいので形にして試し、得られた反応から前の段階に戻る

正解が分からないからこそ、考え抜いてから作るのではなく、 作りながら考える。試作が粗くてよいのは、早く間違えて早く直すためです。

混同しやすいものとの違い

考え方 何のためのものか
デザイン思考 何を作るべきかを、観察と試作の反復から探る発想の進め方
人間中心設計 決まった対象を、使う人に合うまで設計と評価を繰り返す枠組み
業務改善 今ある業務の無駄を減らし、効率を高める
意匠としてのデザイン 見た目や形を美しく整える

人間中心設計と似ていますが、デザイン思考は課題そのものを探すところから 始まる点に違いがあります。問題文に「何を作るべきか決まっていない」 「観察から着想する」とあれば、デザイン思考と判断できます。

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