正解:ウ
各選択肢の解説
ア初めて連絡してきた相手からの添付ファイルに限って、開く前に注意するよう周知する。
誤り。この手口は、添付もURLもない普通の質問から始め、やり取りを重ねて 「もう知っている相手」になってから添付を送ります。初回の相手だけを警戒する決まりは、 まさにこの手口がすり抜ける形です。
イ送信ドメイン認証に合格しなかったメールだけを隔離し、合格したものは通常どおり扱う。
誤り。送信ドメイン認証は、名乗ったドメインの正規のサーバから送られたかを確かめる仕組みです。 攻撃者が自分で取得したフリーメールのアカウントから送れば、認証には合格します。 合格は「送信元が名乗りどおり」というだけで、相手が善意の人だという保証ではありません。
ウ応募書類は採用サイトの応募フォームでだけ受け付け、メールの添付は開かない運用にする。
正解。相手との信頼関係で判断させるのではなく、添付を開くという入口そのものを業務からなくします。 応募書類の受け取り方を決めておけば、何度やり取りした相手でも例外を作らずに済みます。
エウイルス対策ソフトで検出されなかった添付ファイルは、安全とみなして開いてよいとする。
誤り。特定の組織を狙う攻撃では、検出されないように作られた未知のマルウェアが使われることが あります。検出されなかったことは安全の根拠にならず、この規則では今回と同じ添付も開かれます。
理解を深めるために
顔なじみになってから荷物を渡す
初対面の人から荷物を渡されると警戒しますが、何度か言葉を交わした相手なら、 つい受け取ってしまいます。標的型攻撃の中には、この心理を突く「やり取り型」と 呼ばれる手口があります。採用や問合せの窓口のように、外部の知らない相手と やり取りするのが仕事の部署が狙われやすい手口です。
なぜ「相手を見て判断する」では防げないのか
標的型攻撃は、特定の組織を調べ上げ、その組織の業務に合わせた口実で侵入の足がかりを作ります。 やり取り型では、さらに次のような段取りを踏みます。
- 最初は添付もURLもない、ごく普通の質問を送る
- 担当者が丁寧に返信し、相手を実在の応募者や顧客だと信じる
- 信頼ができたところで、業務上自然な名目の添付ファイルを送る
このため「知らない相手に注意」「送信ドメイン認証に合格したら安心」「ウイルス対策ソフトが 反応しなければ安全」といった、相手やファイルの見た目で判断する対策は、いずれもすり抜けられます。 効くのは、添付を開く業務そのものを減らすことです。応募フォームのように受け取り方を決めておけば、 担当者が相手を信じたかどうかに関係なく、同じ攻撃は通りません。
混同しやすいものとの違い
| 対策 | この手口に対して |
|---|---|
| 受け取り方を決め、メールの添付は開かない | 信頼関係に関係なく入口がなくなる |
| 初回の相手だけ警戒する | やり取りを重ねた後の添付は通る |
| 送信ドメイン認証の結果で判断 | 攻撃者自身のフリーメールなら合格する |
| ウイルス対策ソフトの検出で判断 | 未知のマルウェアは検出されないことがある |
不特定多数に同じ文面を送る「ばらまき型」と違い、やり取り型は相手を信用させる段階を挟みます。 どの時点で信頼が作られたかに注目すると、効かない対策が見分けられます。