問題 63★★☆

事務所の無線LANはWPA2-Personalで、共通のパスフレーズを使っている。診断で、接続時の やり取りを傍受されると、持ち帰った記録からパスフレーズを総当たりで割り出される おそれがあると指摘された。この指摘への対策として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. アアクセスポイントのSSIDを通知しない設定(ステルス)にして、周囲から見えにくくする。

    誤り。SSIDを通知しなくても、端末が接続するときのやり取りには電波が出ており、 傍受はできます。見えにくくするだけで、記録からパスフレーズを割り出されることは防げません。

  2. イ登録した端末のMACアドレスからだけ、アクセスポイントへの接続を許可する。

    誤り。MACアドレスフィルタリングは接続できる端末を絞る仕組みで、MACアドレスは偽装できます。 正規の端末の接続を傍受されれば、パスフレーズを割り出されるおそれも変わりません。

  3. ウWPA3-Personalに切り替え、SAEという方式で接続時の鍵の交換を行わせる。

    正解。WPA3-PersonalのSAEでは、傍受した記録を持ち帰ってもパスフレーズを試せません。 推測を1回試すたびにアクセスポイントとのやり取りが必要になり、総当たりが難しくなります。

  4. エWPA2-Personalのまま、データの暗号化の方式をTKIPからAES(CCMP)に変更する。

    誤り。AESにすると接続後のデータの暗号化は強くなりますが、接続時の鍵の確認の手順は WPA2-Personalのままです。傍受した記録からパスフレーズを試せる弱点は残ります。

理解を深めるために

合言葉の確かめ方を、持ち帰って試せない形に変える

WPA2-Personalでは、端末とアクセスポイントが接続時に交わすやり取りに、共通のパスフレーズから 作った値が含まれます。これを傍受して持ち帰ると、攻撃者は自分のコンピュータで候補を次々に当てはめ、 相手に気づかれずに何度でも試せます(オフライン辞書攻撃)。 WPA3-Personalは、この確かめ方そのものを変えた規格です。

なぜWPA3-Personalで防げるのか

  • SAE(Simultaneous Authentication of Equals): WPA3-Personalが使う接続時の鍵の交換の方式。 やり取りを傍受しても、その記録だけでパスフレーズを試すことはできない
  • 推測を試すには、1回ごとにアクセスポイントと実際にやり取りする必要があるので、 総当たりに時間がかかり、アクセスポイント側で異常にも気づける
  • 接続ごとに別の鍵が作られるので、後でパスフレーズが漏れても、 過去に記録された通信をさかのぼって解読されにくい(前方秘匿性)

なお、WPA2とWPA3の両方を受け付ける移行モードでは、WPA2で接続する端末の通信には 従来の弱点が残ります。

混同しやすいものとの違い

対策 何が変わるか
WPA3-Personal(SAE) 傍受した記録からパスフレーズを試せなくなる
SSIDステルス 一覧に出なくなるだけ。接続時の電波は傍受できる
MACアドレスフィルタリング 接続できる端末を絞る。偽装でき、傍受は防げない
TKIPからAES(CCMP)へ 接続後のデータの暗号化が強くなる。接続時の確認の手順は同じ

試験では、指摘された弱点が「接続時の確かめ方」なのか「接続後のデータの暗号化」なのか 「誰が接続できるか」なのかで見分けます。

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