問題 68★★★

部門で運用中の業務システムを点検したところ、古い取引先との接続で使っている暗号方式が、 CRYPTREC暗号リストのうち運用監視暗号リストに載っていた。担当者の対応として、 最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア安全性が確認された暗号の一覧に載っているので、新しいシステムにも採用してよい。

    誤り。安全性と実装性能が確認され、利用が推奨されるのは電子政府推奨暗号リストです。 運用監視暗号リストは、推奨すべき状態ではなくなった暗号の一覧です。リストの名前に 「暗号リスト」と付くので同列に見えますが、載っている意味が逆です。

  2. イ互換性の維持に必要な範囲に限って使い続け、推奨される暗号への移行を計画する。

    正解。運用監視暗号リストは、互換性維持のために継続利用を容認する暗号の一覧で、 それ以外の目的での利用は推奨されていません。今の接続を急に止めず、取引先と調整しながら 電子政府推奨暗号リストの暗号へ移るのが筋です。

  3. ウ既に解読された暗号の一覧に載っているので、直ちにシステムを止めて使用をやめる。

    誤り。運用監視暗号リストは「解読された暗号」の一覧ではなく、解読されるリスクが高まる などして推奨されなくなった暗号のうち、互換性維持のための継続利用を認めるものです。 直ちに止めると取引先との接続が切れ、業務への影響のほうが大きくなります。

  4. エ推奨候補暗号リストへ移されるのを待ち、それまでは現在の使い方を続ける。

    誤り。推奨候補暗号リストは、安全性と実装性能が確認され、今後電子政府推奨暗号リストに 載る可能性のある暗号の一覧です。推奨されなくなった暗号が戻っていく先ではなく、 待っていても使い続けてよい理由にはなりません。

理解を深めるために

運用監視暗号リストは「今は使ってよいが、移る準備を」の一覧

CRYPTRECは、日本の電子政府で使う暗号の安全性を評価する取組です。暗号技術検討会は デジタル庁・総務省・経済産業省が開き、評価や活用の委員会はNICTとIPAが運営しています。 その成果が「電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC暗号リスト)」で、 次の3つのリストで構成されています。

  • 電子政府推奨暗号リスト: 安全性と実装性能が確認され、利用実績が十分か今後の普及が見込まれ、利用を推奨する暗号
  • 推奨候補暗号リスト: 安全性と実装性能が確認され、今後、推奨リストに載る可能性のある暗号
  • 運用監視暗号リスト: 解読されるリスクが高まるなど推奨すべき状態ではなくなったが、互換性維持のために継続利用を容認する暗号

なぜ「止める」でも「放置」でもないのか

運用監視暗号リストに載っているのは、古いシステムとの接続を急には切り替えられない現実に 合わせて、継続利用を認めている暗号です。だから直ちに止める必要はありません。 一方で互換性維持以外の目的での利用は推奨されておらず、いずれ使えなくなる前提です。 新しい用途には使わず、相手方と調整して推奨リストの暗号へ移る計画を立てます。

政府の調達向けのリストですが、民間企業が暗号を選ぶときの目安としても参照できます。

混同しやすいものとの違い

リスト 載っている暗号 新しいシステムでの扱い
運用監視暗号リスト 推奨されなくなった暗号 使わない(互換性維持に限る)
電子政府推奨暗号リスト 利用を推奨する暗号 使う
推奨候補暗号リスト 将来、推奨に載る可能性のある暗号 推奨リストへの掲載を待つ

3つのリストを、暗号の「今の評価」と「この先の見通し」で並べて覚えると、場面の問題でも迷いません。

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