正解:エ
各選択肢の解説
ア機能の開発を優先し、公開直前の脆弱性診断で見つかった問題をまとめて直す。
誤り。脆弱性診断は必要な工程ですが、作り終えてから問題を探す後工程の対策です。 設計の段階で入り込んだ弱点が公開直前に見つかると、作り直しが間に合わず、 弱点を残したまま公開しかねません。最初から作り込むのがセキュリティバイデザインです。
イ機能の設計は変えずに、公開後にWAFを導入して外部からの攻撃を防ぐ。
誤り。WAFはWebアプリケーションの前に置いて攻撃の通信を遮断する仕組みで、作った後に 外側から守る対策です。アプリケーション自体の弱点は残るので、WAFで防げない攻撃が 来れば被害が出ます。設計で弱点を作らないこととは考え方が逆です。
ウ公開後に攻撃や事故が起きた箇所から、優先して対策を追加していく。
誤り。被害が出た箇所を後から直していく事後対応の進め方です。会員の個人情報は 一度漏えいすると取り戻せないので、起きてから直す順序では間に合いません。 対策を考え始める時期が、企画・設計より大きく遅れています。
エ要件定義の段階で守る情報と想定される脅威を洗い出し、対策を要件に含める。
正解。セキュリティバイデザインは、企画・設計の段階からセキュリティを要件として組み込む 考え方です。要件に入れておけば、委託先との契約や設計、テストの範囲にも反映でき、 後からの手戻りも減ります。
理解を深めるために
「後から足す」ではなく「最初から作り込む」
家を建てた後で耐震補強をするより、設計図の段階で耐震構造にしておくほうが確実で安くつきます。 セキュリティバイデザインも同じで、企画・設計の段階からセキュリティを要件に含めておく考え方です。
委託開発では特に効きます。要件に書かれていない対策は、委託先にとって「頼まれていない仕事」です。 要件定義の段階で守る情報(会員の住所や購入履歴)と想定される脅威を洗い出し、対策を要件に 書いておけば、契約・設計・テストの範囲に自然に入ります。
なぜ後工程の対策だけでは足りないのか
- 公開直前の脆弱性診断: 見つけることはできても、設計からの作り直しは間に合わないことが多い
- 公開後のWAF: 外側から攻撃の通信を止めるだけで、アプリケーションの弱点そのものは残る
- 事故が起きてからの対策: 漏えいした個人情報は取り戻せない
診断やWAFが不要という意味ではありません。上流で作り込んだうえで、診断で確かめ、 WAFで重ねて守るのが本来の順序です。後工程の対策を、上流の作り込みの代わりにしないことが要点です。
混同しやすいものとの違い
| 進め方 | 対策を考える時期 | 弱点の扱い |
|---|---|---|
| セキュリティバイデザイン | 企画・要件定義から | 作らない |
| 公開直前の脆弱性診断だけ | 開発の終わり | 見つけて直す |
| 公開後のWAFだけ | 公開後 | 残したまま外側で防ぐ |
| 事故後の個別対策 | 被害が出た後 | 被害が出てから直す |
試験では「いつから考えるか」で見分けます。選択肢の中で最も早い段階から対策を組み込む ものがセキュリティバイデザインです。