正解:ア
各選択肢の解説
ア違反の事実を確かめてから適用し、故意か過失か、初回か再発かで処分に段階を設け、事前に周知する。
正解。懲戒手続は、あらかじめ定めて知らせておき、違反を確かめたうえで、 違反の重さや事情に応じて段階的に適用します。公正に扱われると従業員が 信頼できることが、抑止にもつながります。
イ抑止の効果を高めるため、違反の内容や事情を問わず、すべて同じ重い処分とする。
誤り。懲戒は違反の重さ、故意か過失か、初回か繰り返しか、必要な教育を受けていたか などを考えて段階的に行います。一律に重くすると処分が不公正になり、 軽い誤りを報告せずに隠す動きも招きます。
ウ手続を知られると抜け道を探されるので、内容は従業員に知らせずに運用する。
誤り。懲戒手続は、従業員にあらかじめ知らせておくことで、違反を思いとどまらせる 働きを持ちます。知らせずに運用すると抑止にならず、処分を受けた人にとっても 予測できない不公正な扱いになります。
エ違反の疑いが報告された時点で、事実の確認を待たずに処分を決めて公表する。
誤り。懲戒は、違反が実際にあったことを確かめてから始めます。疑いだけで 処分すると、違反していない人を罰するおそれがあります。迅速さより、 事実の確認と公正な扱いを優先します。
理解を深めるために
罰の重さより、公正さと予告が効く
試合のルールに反則と罰則が書かれていなければ、選手は何が許されないのかわかりません。 審判が気分で退場を命じれば、選手は審判を信用しなくなります。 懲戒手続も同じで、決めて知らせておくことと、事実を確かめて公正に適用することが要です。
懲戒手続に求められること
JIS Q 27002 の人的管理策「懲戒手続」は、方針に違反した人に対する手続を 正式に定め、周知しておくことを求めます。運用の要点は次のとおりです。
- 違反があったことを確かめてから手続を始める
- 違反の性質と重さ、故意か過失か、初回か繰り返しか、教育を受けていたかなどを考え、処分に段階を設ける
- 手続をあらかじめ従業員に知らせ、違反を思いとどまらせる
公正に扱われると従業員が信頼できれば、誤りを正直に報告する文化も保たれます。 これは、事象を早く報告してもらう管理策とも結びついています。
混同しやすいものとの違い
| 定め方 | 問題点 |
|---|---|
| 確認してから、段階的に、事前に周知 | 公正で、抑止としても働く |
| 事情を問わず一律に重い処分 | 不公正になり、軽い誤りを隠す動きを招く |
| 手続を従業員に知らせない | 抑止が働かず、処分が予測できない |
| 疑いの段階で処分を決める | 違反していない人を罰するおそれがある |
「抑止のため」という言葉が付いた選択肢でも、公正さや事実の確認を欠いていれば誤りです。