問題 55★★☆

部門のファイルサーバのファイルが暗号化され、元に戻す代わりに金銭を求める脅迫文が 残されていた。侵入には、修正プログラムを適用していなかったVPN装置の公表済みの 脆弱性が使われたとみられる。IPAへの届出として最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア侵入口が装置の脆弱性なので、脆弱性関連情報の届出として出す。

    誤り。脆弱性関連情報の届出は、まだ直っていない弱点を見つけた人が、開発者に直して もらうための制度です。この装置の弱点は公表済みで修正プログラムもあります。 侵入口が脆弱性でも、この場面で届けるのは受けた被害です。

  2. イファイルが暗号化されただけで他へ広がっていないので、ウイルス届出の対象外である。

    誤り。コンピュータウイルス対策基準は、自己伝染・潜伏・発病のうち一つ以上の機能を 持つものをウイルスとしています。広がっていなくても、ファイルを使えなくする被害は 届出の対象です。「ウイルス=感染が広がるもの」という思い込みによる誤りです。

  3. ウ金銭を要求する恐喝事件として警察が扱うので、IPAの届出の対象からは外れる。

    誤り。警察への相談は捜査のためで、IPAへの届出は被害の拡大・再発の防止に役立てる ためです。目的が違うので、一方がもう一方の代わりにはならず、両方を行えます。

  4. エウイルス届出として、ランサムウェア被害の専用の様式で届け出る。

    正解。IPAはランサムウェアによる被害をウイルス届出として扱い、攻撃が複雑な場合が あるため専用の届出様式を用意しています。

理解を深めるために

ランサムウェアの被害は「ウイルス届出」の専用様式で

ランサムウェアは、ファイルを人質に取って身代金を求めるマルウェアです。 入口がVPN装置の弱点であっても、届けるのは「暗号化されて業務が止まった」という被害なので、 IPAへの届出はウイルス届出になります。

IPAの届出の扱い

IPAは、経済産業省の告示「コンピュータウイルス対策基準」に基づいてウイルスの届出を受け付けています。 目的はウイルス被害の拡大と再発の防止で、届出は協力の依頼という形で求められています。

  • ランサムウェアの被害はウイルス届出として扱う
  • ただし攻撃が複雑な場合があるため、ランサムウェア被害の専用様式がある
  • 暗号化・削除されたファイルと、復元と引き換えに金銭を求める脅迫文が目安になる

混同しやすいものとの違い

届出・相談 何のためか この場面では
ウイルス届出(ランサムウェア被害の様式) 被害の拡大・再発の防止 当てはまる
脆弱性関連情報の届出 未対策の弱点を開発者に直してもらう 弱点は公表済み、届けるのは被害
広がらなければ対象外という考え ウイルスを自己伝染だけで捉えている 機能は一つ以上でよい
警察への相談 犯罪として捜査する IPAの届出とは目的が別

試験では、侵入の手口に目を奪われず、「何の被害を、何のために届けるか」で 届出の種類を選びます。

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