正解:エ
各選択肢の解説
ア内部統制や他のリスク管理と整合の取れた、平時の管理体制を構築させる。
誤り。これは指示2「リスク管理体制の構築」の内容です。役割と責任を決める点が 似ていますが、指示2は全社のリスク管理の枠組みを平時に作るものです。 事故が起きた直後に誰が何をするかという初動の体制は、別の項目で扱います。
イ業務停止からいつまでに復旧するかを定め、復旧の手順と体制を整えさせる。
誤り。これは指示8「事業継続・復旧体制の整備」の内容です。どちらもインシデントへの備えですが、 指示8が扱うのは業務を元に戻すまでの目標と手順です。この場面で遅れたのは、 被害の範囲を調べて広がりを止めるという、復旧より前の初動です。
ウ攻撃や対策の情報を共有する関係を築き、被害の公表に備えさせる。
誤り。これは指示10「情報の収集、共有及び開示の促進」の内容です。外部と情報をやり取りする 平時の関係づくりで、事故時にも役立ちますが、社内の誰が調査と切り離しを担うかを 決めることにはなりません。
エ影響範囲の特定や被害拡大の防止を担うCSIRT等を整え、演習させる。
正解。指示7「インシデント発生時の緊急対応体制の整備」は、影響範囲の特定、 被害拡大を防ぐ初動対応、再発防止策の検討を担うCSIRT等の体制を整え、 実践的な演習を行わせることを求めています。
理解を深めるために
起きた直後に動く体制と、元に戻す体制は別の項目
サイバーセキュリティ経営ガイドラインは、経済産業省とIPAが示す経営者向けの指針です。 Ver 3.0 では、経営者が認識すべき3原則と、経営者がCISO等に指示すべき重要10項目を示しています。 火事にたとえると、出火したときに誰が消火器を持って走るかを決めておくのが指示7、 焼けた後にいつまでに営業を再開するかを決めておくのが指示8です。
事故の時間軸で見る重要10項目
重要10項目のうち、インシデントに関わる項目は時間の順に並べると区別しやすくなります。
- 平時: 指示2(リスク管理体制の構築)、指示10(情報の収集、共有及び開示の促進)
- 発生直後: 指示7(インシデント発生時の緊急対応体制の整備)。影響範囲や損害の特定、被害拡大の防止、再発防止策の検討を担う体制(CSIRT等)、通知先の把握、演習
- 業務停止から回復まで: 指示8(インシデントによる被害に備えた事業継続・復旧体制の整備)。復旧の目標時間、手順書、BCPとの連携
この場面の問題は「誰が調べて切り離すか」が決まっていなかったことなので、発生直後の初動にあたります。
混同しやすいものとの違い
| 重要10項目 | 中身 | 時点 |
|---|---|---|
| 指示7 緊急対応体制の整備 | 影響範囲の特定・被害拡大の防止を担うCSIRT等と演習 | 発生直後 |
| 指示8 事業継続・復旧体制の整備 | いつまでに復旧するかと、復旧の手順・体制 | 業務停止から回復まで |
| 指示2 リスク管理体制の構築 | 役割と責任を明確にした全社のリスク管理体制 | 平時 |
| 指示10 情報の収集、共有及び開示の促進 | 外部との情報共有の関係、被害の報告・公表への備え | 平時 |
場面が「初動が遅れた」なら指示7、「復旧に時間がかかった」なら指示8と、遅れた段階で見分けてください。