正解:ア
各選択肢の解説
ア違反の種類と程度に応じた処分と決定の手続を定め、従業員に周知する。
正解。どの違反にどの程度の処分が科されるか、誰がどう決めるかを定めておけば、 部署が違っても同じ物差しで処分できます。前もって知らせておくことで、 違反を思いとどまらせる効果も生まれます。
イ処分の内容は事情を知る各部門長に任せ、決定後に人事部へ報告させる。
誤り。いまの不公平は、処分を部署ごとの判断で決めていることから生じています。 決定後の報告を足しても、決める物差しが部門長ごとに違うままなので、 同じ違反に違う処分が出る状態は変わりません。
ウ抑止のため、違反はその程度によらず一律で最も重い処分にすると定める。
誤り。基準はそろいますが、うっかりした軽い違反にも重い処分が科され、違反の重さと 釣り合いません。釣り合わない処分は懲戒権の濫用として無効とされるおそれがあり (労働契約法)、違反を隠す動機も生みます。
エ違反者の氏名と違反内容を社内に掲示して、処分の代わりとすると定める。
誤り。これでは、どの違反にどの処分が科されるかという基準は決まりません。 氏名の掲示は本人の名誉やプライバシーを傷つけるおそれがあり、 処分の公平さの問題を解決する手段にもなりません。
理解を深めるために
罰則の規程は「同じ違反には同じ処分」の物差し
スポーツの反則に、審判によって注意だけだったり退場だったりしたら、選手は納得しませんし、 どこまでやってよいかも分からなくなります。反則の種類ごとに罰を決めてルールブックに書いておくから、 公平に裁けて、選手も反則を避けるようになります。情報セキュリティの規程に違反したときの 処分も同じで、それを前もって定めておくのが罰則の規程です。
罰則の規程で何を定めるか
- 違反の種類と程度(故意か過失か、影響の大きさ、繰り返しか)に応じた処分の段階
- 処分を決める手続(誰が事実を確かめ、誰が決めるか。本人の言い分を聞く機会)
- 従業員への周知。知らされていない罰則では抑止にならない
- 懲戒処分を行うには、就業規則などに処分の種類と対象となる行為を定めておくことが前提になる。 情報セキュリティの罰則も、人事の規程と整合させて定める
混同しやすい定め方との違い
| 定め方 | どうなるか |
|---|---|
| 違反の種類・程度に応じた処分と手続を定めて周知 | 部署によらず同じ物差しで処分でき、抑止にもなる |
| 各部門長に任せて事後報告 | 物差しが部門ごとに違い、不公平が残る |
| 一律に最も重い処分 | 違反の重さと釣り合わず、無効とされるおそれや隠ぺいを生む |
| 氏名の掲示で処分に代える | 基準が決まらず、名誉・プライバシーの問題を生む |
罰則の規程の目的は、罰を重くすることではなく、公平に処分できることと、違反を思いとどまらせることです。