会員サイトを構築するプロジェクトで、計画どおり進んでいる途中に、営業部から 公開日を2週間早めたいと要請された。スケジュールを詰めるための検討として、 最も適切なものはどれか。
正解:ア
ア後続の作業のうち、前の作業の完了を待たずに始められるものを洗い出し、並行して進める。
正解。日程の長さは、作業の順序と各作業の所要期間で決まります。順序を見直して 一部を並行させれば全体を詰められます。ただし前の作業が固まる前に始める分、 やり直しの危険は増えるので、どこまで並行させてよいかを確かめたうえで決めます。
イ残りの作業に他部署から要員を追加し、参加した日から即戦力として数えて日程を引く。
誤り。要員の追加は日程を詰める有力な手段ですが、加わった人が仕事を覚えるまでに 時間がかかり、説明する側の手も取られます。参加初日から従来の担当者と同じ量を こなす前提で引いた日程は、かえって公開日を危うくします。
ウ作業の進め方は変えずに、進捗報告を週1回から毎日に増やして状況を細かくつかむ。
誤り。報告を細かくすれば遅れの発見は早くなりますが、作業そのものは1日も 短くなりません。把握することと日程を詰めることは別で、報告の準備に時間を取られる 分だけ、かえって作業に使える時間が減ることにも注意が要ります。
エ残りの作業の所要期間を、根拠を示さないまま一律に2割短く見積もり直して計画とする。
誤り。数字だけを縮めるのは計画の帳尻を合わせただけで、実際にやる作業の量は 何も減っていません。無理な見積りは終盤で必ず表に出ます。期間を短くしたいなら、 作業の順序か進め方か範囲のどれかを、根拠をもって変える必要があります。
日程は「順序」と「所要期間」でできている
スケジュールは、洗い出した作業に所要期間を見積もり、前後関係を踏まえて並べた結果です。 全体の長さは、この二つの掛け合わせで決まります。したがって日程を詰めたいなら、 動かせる要素は次の三つしかありません。
- 順序を変える — 待たなくてよい作業を並行させ、全体の期間を重ねて短くする
- 所要期間を変える — 要員や設備を増やし、1作業にかかる日数を減らす
- やることを変える — 必須でない機能を後の段階へ回し、作業そのものを減らす
「気合いで巻く」は、この三つのどれでもありません。見積りの数字だけを書き換えるのも 同じで、計画は短くなっても現実の作業量は変わらないままです。
それぞれの手段には代償がある
| 手段 | 効くところ | 代償 |
|---|---|---|
| 作業の並行化 | 待ち時間を重ねて消せる | 前工程が固まる前に着手するので手戻りが増える |
| 要員・設備の追加 | 1作業の日数が減る | 費用が増え、立ち上げに時間がかかる |
| 範囲の見直し | 作業の総量が減る | 発注元やステークホルダの合意が要る |
どれを選んでも、誰かに影響が及びます。プロジェクトマネージャは案を用意したうえで、 関係者と合意してから計画を引き直します。日程・費用・範囲は互いに引っ張り合う関係にあり、 どれか一つだけを都合よく縮めることはできない、と覚えておくと選択肢を絞れます。