Web受注システムを開発するプロジェクトで、開発の途中に利用部門から、当初の合意に 無い機能の追加を繰り返し求められている。計画段階でスコープを定めておいたことが この場面でどのように働くか。最も適切なものはどれか。
正解:エ
ア要望の内容にかかわらず、範囲の外であることを理由に受け付けずに済ませられる。
誤り。スコープは要望を断るための盾ではありません。範囲の外だと分かること自体が 目的ではなく、その後に影響を見積もって取り込むかどうかを決められる点に意味が あります。必要な変更まで一律に止めると、使われない成果物ができあがります。
イ利用部門の要望である以上は範囲に含める義務が生じ、日程と費用は後から調整する。
誤り。要望をそのまま受け入れ続けると範囲が際限なく広がり、当初の日程と費用では 収まらなくなります。受け入れる場合でも、先に影響を見積もって関係者と合意し直す のが順序で、日程と費用の調整を後回しにしてよいわけではありません。
ウ担当者の判断で作業に足して対応すれば、日程や費用の合意は変えずに済ませられる。
誤り。現場が黙って作業を足すと、範囲が広がった事実が誰にも見えないまま工数だけ 増えます。遅れが出ても理由をたどれず、次の見積りの根拠も崩れます。範囲を変える なら、変えたことを記録して合意する必要があります。
エ要望が合意した範囲の外だと示し、影響を評価して範囲を変えるかどうかを決められる。
正解。スコープは「やること」と「やらないこと」の境界です。境界があるからこそ 新しい要望が外側だと判別でき、日程・費用・品質への影響を見積もったうえで、 範囲を変えるか見送るかを関係者で決め直せます。
線を引くのは、断るためではなく、変えるときに気付くため
リフォームの契約で「台所と浴室まで。居間は含まない」と決めておくと、工事の途中で 「居間の壁紙も」と言われたときに、それが追加なのだとすぐ分かります。追加だと分かれば、 いくら増えて何日延びるかを示して、やるかどうかを決められます。線が引かれていなければ、 頼まれるままに作業が増え、あとで「なぜ遅れたのか」も説明できません。
スコープが効く仕組み
- スコープは、プロジェクトで行うことと行わないことの境界を決めたもの
- 境界があるので、出てきた要望が範囲の内か外かを判別できる
- 範囲の外だと分かったら、日程・費用・品質への影響を見積もる
- その結果を示して、範囲を変えるか見送るかを関係者で合意する
大事なのは、スコープは変えてはいけないものではない、ということです。変えてよい、 ただし影響を評価して合意し直す。その手順を踏むための土台がスコープです。 合意のないまま範囲が少しずつ広がっていく状態はスコープクリープと呼ばれ、 遅延と予算超過の代表的な原因になります。
追加要望への向き合い方の違い
| 対応 | 何が起きるか |
|---|---|
| 影響を評価して合意し直す | 変更が記録に残り、日程と費用の前提がそろう |
| 一律に受け入れる | 範囲が際限なく広がり、当初の日程と費用で収まらない |
| 一律に断る | 必要な変更まで止まり、使われない成果物になる |
| 黙って作業に足す | 増えた工数が見えず、遅れの理由を説明できない |
試験では「当初の合意に無い要望が出た」という場面が手掛かりです。スコープの目的は 要望を断ることではなく、範囲を変えるときに影響を見えるようにすることだと押さえてください。