本番システムの顧客データを開発部門のテスト環境で使うにあたり、データマスキングを 適用することにした。データマスキングの説明として、最も適切なものはどれか。
正解:ア
ア氏名や電話番号などの値の一部を伏字や別の値に置き換え、本人が分からない状態にして利用する。
正解。データマスキングは、元のデータの形式は保ったまま中身だけを隠す加工です。 桁数や書式が残るのでテストや画面表示にそのまま使え、担当者に本物の氏名や 電話番号を見せずに済みます。
イ一定の規則に従って値を変換し、鍵をもつ利用者だけが元の値に戻せる状態にして保管する。
誤り。これは暗号化の説明です。どちらも中身が読めなくなる点は同じですが、 暗号化は鍵さえあれば元に戻すことが前提の保護です。マスキングは元に戻すことを 目的にしておらず、その状態のまま業務で使います。
ウ特定の個人を識別できず復元もできないように加工し、本人の同意なく第三者へ提供できるようにする。
誤り。これは匿名加工情報の説明です。法律が定める加工基準を満たし、公表などの 手続を踏んで初めて認められる制度です。マスキングは単なる加工技術であり、 施しただけで匿名加工情報になるわけではありません。
エ利用者ごとに閲覧できる範囲をあらかじめ定め、権限のない者がデータを参照できないようにする。
誤り。これはアクセス制御の説明です。見せる相手を絞る対策で、データそのものは 元のまま残ります。マスキングはデータの中身を書き換える対策なので、万一持ち出されても 本人が分からないという違いがあります。
「見せられない部分だけ塗りつぶす」
クレジットカードの利用明細で、番号が **** **** **** 1234 と印字されているのを
見たことがあるはずです。桁数と最後の4桁は残っているので本人は自分のカードだと分かる
一方、明細を拾った他人には何の番号か分かりません。これがデータマスキングです。
どんな場面で使うか
- テスト環境 … 本番の顧客データをそのままコピーすると、開発担当者全員が本物の 氏名や住所を見られてしまう。氏名を「顧客A」、電話番号を架空の番号に置き換えてから渡す
- 画面表示 … コールセンターの応対画面で、口座番号の一部だけを表示する
- 委託先への提供 … 分析に不要な項目を伏せてから渡す
形式(桁数・文字種)を保ったまま中身だけ差し替えるので、システムの動作確認に支障が 出にくいのが利点です。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 何をするか |
|---|---|
| データマスキング | 値の一部を伏字や別の値に置き換え、その状態で使う |
| 暗号化 | 鍵で変換する。鍵があれば元に戻せる |
| 匿名加工情報 | 法定の基準で加工した制度上の情報。復元できない |
| アクセス制御 | データは変えず、見られる人を制限する |
注意したいのは、マスキングを施しても残った項目から本人を特定できるなら個人情報のまま だという点です。氏名を伏せても住所と生年月日が残っていれば個人を絞り込めます。 「加工したから自由に使える」と考えず、何が残っているかで判断してください。