正解:ア
各選択肢の解説
アパスワードだけで認証できる接続方式を無効にし、多要素認証を通る入口に限る。
正解。多要素認証をかけても、パスワードだけで入れる入口が1つでも残っていれば、 攻撃者はそこを選びます。古い方式の接続を止め、すべての入口で多要素認証を 通らせることで、盗まれたパスワードだけではログインできなくなります。
イブラウザからのログインで求める確認コードを、より長い桁数に変える。
誤り。強くしたのは、今回使われなかったブラウザの入口です。攻撃者は 確認コードを求められない古い方式の接続口から入っているので、コードの 桁数を増やしても、その経路は今までどおり開いたままです。
ウ不正送信のあった社員だけパスワードを変更させ、ほかは様子を見る。
誤り。被害を受けたアカウントの後始末としては必要ですが、それだけです。 同じ接続口はほかの社員のアカウントにも開いているので、別の社員の パスワードが漏れれば、同じ手口で再び入られます。
エメールソフトにパスワードを保存させず、起動のたびに入力させる。
誤り。パスワードの入力のしかたを変えても、認証に使うのはパスワードだけという 点は変わりません。攻撃者は盗んだパスワードを自分のメールソフトに入力して 接続するので、社員の端末での保存の有無とは関係がありません。
理解を深めるために
正門に警備員を置いても、通用口が開いていれば意味がない
正門に警備員を立てて身分証を確かめていても、通用口に鍵がかかっていなければ、 侵入者は通用口を使います。多要素認証も同じで、どの入口にかかっているかが肝心です。 ブラウザからのログインだけに多要素認証をかけ、メールソフト用の古い接続方式で パスワードだけのログインを許していたのが、今回の抜け道でした。
なぜ「パスワードだけの入口」が残るのか
- メールソフトの古い接続方式には、確認コードの入力など追加の確認を挟めないものがある (こうした方式はレガシー認証と呼ばれることがある)
- 古いソフトを使い続ける利用者がいると、互換のために有効のまま残されやすい
- 攻撃者は盗んだパスワードを複数の入口で試し、通った入口を使う
そのため、多要素認証を導入するときは、ブラウザ・メールソフト・スマートフォンのアプリなど、 そのアカウントに入れる経路をすべて洗い出し、多要素認証を通れない方式を無効にします。 古いソフトを使っている部門には、多要素認証に対応したソフトへの移行を先に案内します。
混同しやすい対策との違い
| 対策 | 今回の抜け道に効くか |
|---|---|
| パスワードだけの接続方式を無効にする | 効く。入口そのものを閉じる |
| 確認コードの桁数を増やす | 効かない。強くしたのは使われなかった入口 |
| 被害者だけパスワードを変える | 一部だけ。ほかのアカウントは同じ入口が開いている |
| パスワードを保存させない | 効かない。認証に使う要素は同じ |
「多要素認証を導入したのに破られた」場面では、強さより先に、多要素認証を通らない 経路がないかを疑うのが定石です。